秘め事
見つめる瞳が熱を帯びていく。秘められた想いを見つけた喜びに胸が震える。それとともに、消えない後ろめたさを感じ、肩が震えた。
この国では女王の恋は禁忌。
分かっていながら今宵もこの手を取る。その胸に身を委ね、己を失おうとしている。そう思うと、陽子は身体のわななきを止めることができなかった。
隣国の王は、伴侶の顔をして優しく微笑んだ。そのまま陽子を引き寄せて包みこむ。その胸にすっぽりと収まると、互いの鼓動以外に聞こえる音はない。温もりが陽子を宥めていく。未だ震えを止められないまま、陽子は身体の力を抜いた。
伴侶は衣の帯を解く。ひとつひとつ、ゆっくりと衣を脱がされていく。最後の一枚に手がかかり、陽子は伴侶に裸身を曝した。大きく身体が震えたのは、寒いからでも恥ずかしいからでもない。己の弱さを恥じ、陽子は目を閉じた。
指が肩に触れる。それだけで肩が跳ねた。小さく息をついた伴侶が笑い含みに問う。
「──怖いか?」
陽子はゆっくりと目を開けた。苦い笑みを浮かべる伴侶がじっと見つめている。躊躇いのない瞳に、躊躇う陽子が映っていた。陽子は首を小さく横に振る。
怖いのは、あなたに抱かれることではない。
人に言えぬ秘め事が重ねられる度に己の脆さを暴かれる。己の弱さに打ちのめされる。それでも。
決して悔いたりしない。この腕を拒んだりはしない。ずっと、この距離でこの瞳を見つめていたいから。
伴侶は薄く笑み、陽子を抱き寄せる。陽子はわななく身体を伴侶に委ね、再び目を閉じた。
2011.01.14.
(拍手其の三百二十四)
拝見して、「きゃ〜〜」と叫んでしまいました。
なんて艶っぽいのでしょう!
いろんな意味で萌え補充させていただきました〜。
瑠璃さん、ありがとうございました。
またよろしくお願いいたしますね〜(まだ言うか)。
(素敵尚陽絵をいただいてからずっと悶々しておりました。
なかなか昇華できず、更に悶々しておりました。
漸く言葉にすることができました〜。
因みに拍手其の二百五十七「枷」を念頭に置いて書きました。
年明け最初の拍手更新がオマケからって……(苦笑)。
今年の行方を占うようですね。
2011.01.14. 拍手掲載時後書き)
(無断転載厳禁。勝手にお持ち帰らないでくださいね!)
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2011.01.04. 速世未生 記