「宝重庫」 「玄関」

「 秘め事 」

絵 ・ 瑠璃さま

 瑠璃さんにおねだりして描いていただいた尚陽素敵絵でございます。 「ぷち尚陽祭には間に合いませんが」とのことでしたが、年明け早々ご送付いただき、 私にとっては思いがけない「お年玉」となりました。
 拙宅に15歳未満の方がいらしているのか?  との疑問はございます。 でも、頁を作って試しに開けてみて、私がびっくりしてしまったので、 ワンクッション置くことにいたします。
スクロール












秘め事

秘め事

 見つめる瞳が熱を帯びていく。秘められた想いを見つけた喜びに胸が震える。それとともに、消えない後ろめたさを感じ、肩が震えた。

 この国では女王の恋は禁忌。

 分かっていながら今宵もこの手を取る。その胸に身を委ね、己を失おうとしている。そう思うと、陽子は身体のわななきを止めることができなかった。
 隣国の王は、伴侶の顔をして優しく微笑んだ。そのまま陽子を引き寄せて包みこむ。その胸にすっぽりと収まると、互いの鼓動以外に聞こえる音はない。温もりが陽子を宥めていく。未だ震えを止められないまま、陽子は身体の力を抜いた。
 伴侶は衣の帯を解く。ひとつひとつ、ゆっくりと衣を脱がされていく。最後の一枚に手がかかり、陽子は伴侶に裸身を曝した。大きく身体が震えたのは、寒いからでも恥ずかしいからでもない。己の弱さを恥じ、陽子は目を閉じた。
 指が肩に触れる。それだけで肩が跳ねた。小さく息をついた伴侶が笑い含みに問う。

「──怖いか?」

 陽子はゆっくりと目を開けた。苦い笑みを浮かべる伴侶がじっと見つめている。躊躇いのない瞳に、躊躇う陽子が映っていた。陽子は首を小さく横に振る。

 怖いのは、あなたに抱かれることではない。

 人に言えぬ秘め事が重ねられる度に己の脆さを暴かれる。己の弱さに打ちのめされる。それでも。

 決して悔いたりしない。この腕を拒んだりはしない。ずっと、この距離でこの瞳を見つめていたいから。

 伴侶は薄く笑み、陽子を抱き寄せる。陽子はわななく身体を伴侶に委ね、再び目を閉じた。

2011.01.14.
(拍手其の三百二十四)
 拝見して、「きゃ〜〜」と叫んでしまいました。 なんて艶っぽいのでしょう!  いろんな意味で萌え補充させていただきました〜。
 瑠璃さん、ありがとうございました。 またよろしくお願いいたしますね〜(まだ言うか)。

(素敵尚陽絵をいただいてからずっと悶々しておりました。 なかなか昇華できず、更に悶々しておりました。 漸く言葉にすることができました〜。  因みに拍手其の二百五十七「枷」を念頭に置いて書きました。
 年明け最初の拍手更新がオマケからって……(苦笑)。 今年の行方を占うようですね。
2011.01.14. 拍手掲載時後書き)

(無断転載厳禁。勝手にお持ち帰らないでくださいね!)

瑠璃さんの素敵なサイト「Lapis lazuli」は 祭リンク集 からどうぞ。

2011.01.04. 速世未生 記
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
「宝重庫」 「玄関」