「宝重庫」 「玄関」

「 恋する風来坊 」

絵 ・ senjuさま

恋する風来坊

心 守 ── 抜粋 

 夜半に女王の私室を訪った。久しぶりの二人きり。女王はどんな顔でどんな話を聞かせてくれるのだろう。そう思うと自然に唇が緩んだ。しかし。
 女王は榻に坐したまま眠っていた。卓子の上には茶器がふたつ並んでいる。茶を飲み損ねたな、と利広は苦笑する。そして、向かいの席に腰を下ろし、しばし女王の麗しい寝顔を眺めた。
 自室だからだろうか、それにしても無防備だ。扉の開く音で目を覚ます、との話も聞いたことがあったのに、女王が目を開ける気配はない。

「陽子……襲われたいのかい?」

 密やかな囁きに眠れる女王が答えることはない。利広は笑みを浮かべ、女王の傍に屈みこんだ。

2010.03.25.
 senjuさんより拙作「心守」の連鎖妄想素敵絵をいただいてしまいました。 わ〜いわ〜い!
 「利広さん描いてます」とのお言葉に胸躍らせてお待ち申し上げておりました。 切ない貌をして片足脱いじゃうお茶目さにくすりと笑ってしまいました。 そして、丹念に描かれた背景! 感涙物でございます〜。 いつも思うのですが、絵師さまは凄いです。
 senjuさん、美麗な絵をありがとうございました。 そのネーミングセンスもステキです♪  またどうぞよろしくお願いいたしますね〜(と何気におねだり)。

(無断転載厳禁。勝手にお持ち帰らないでくださいね!)

senjuさんの素敵なサイト「ちょもらんまプレス」は 祭リンク集 からどうぞ。

2010.12.03. 速世未生 記
背景画像「翠琅庵」さま
「宝重庫」 「玄関」