「宝重庫」 「玄関」

「 手入れの行き届いた 牀榻(しょうとう)  」

絵 ・ 由都里さま

手入れの行き届いた牀榻

常世語のお題(尚陽編)

手入れの行き届いた 牀榻しょうとう

「こんなに手入れの行き届いた牀榻なのにな」
 牀に腰をかけてひとりごちると、伴侶は訝しげに小首を傾げる。尚隆は口許を歪めて先を続けた。
「──お前が寝ると、随分乱れてしまう」
「私の寝相が悪いって言いたいの?」
 顔を真っ赤にしてそうのたまう、麗しくも鈍すぎる女王を見上げ、尚隆は黙って深い溜息をつく。伴侶はますますいきり立った。
「何とか言ったらどう?」
「どちらが表か分からないな」
「──わけ分かんないことばかり言って」
 伴侶は顔を蹙めて悪態をつく。顔が髪と同じ色だ、と苦笑して伴侶を引き寄せる。無防備に倒れこむ伴侶をそのまま押し倒し、尚隆は無言で答えを教えたのだった。

2007.06.12.
 先日のワンライ、御題其の二百三十一「慶の日常」にいただいた由都里さんのご感想に
「私も陽子さんにキョト顔されたひ…」
とのお言葉がございました。
「キョト顔陽子主上描いて♡」
とお願いしたところ、即行で描いていただけましたのでサイトに上げようとしましたら、 それだけはやめて、と懇願されてしまいまして(苦笑)。 代わりに素敵漫画をいただきました〜。
 拙作「手入れの行き届いた牀榻(尚陽編)」でございます。 陽子主上、なんてお可愛らしい……。 尚隆がメロメロになるわけでございますね〜。
 由都里さん、眼福な尚陽をありがとうございました!

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2016.08.24. 速世未生 記
背景画像「翠琅庵」さま
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