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御題其の一

尚浩対決

「いったい何を考えていらっしゃるのです?」
「──お前がそれを訊くのか?」
 鋭い目つきで問いかける浩瀚に、尚隆はにやりと笑う。浩瀚は眉を顰めて応えを返す。
「私如きに延王のお考えを拝察することなど、できない相談です」
「──戯言を。己の胸に訊くのだな」
 そう言い捨てると延王尚隆は踵を返した。浩瀚は拳を固く握りしめ、隣国の放埓な王の背を見送った。

利浩対決

「いったい何を考えていらっしゃるのです?」
「君はどうしてそんなに怒っているの?」
 利広は柔和な微笑を見せる。この笑顔が曲者なのだと浩瀚は思う。
「私は別に何もやましいことなんかないんだけれど」
「それでは、何故……」
「それは、君が気にすることなの?」
 無邪気に問いかける利広に、浩瀚は眉を顰める。そんな浩瀚に利広はくすくすと忍び笑いを漏らす。
「──君は、己を分かっていないね」
 そう言って背を向ける利広を、浩瀚は複雑な瞳で見送った。

2006.04.07.
 先日、ご感想をいただいた中に、「所顕」で不発だった「尚浩対決」を読んでみたい、 「利浩対決」も面白いかも、というものがあり、なんとなく「もやもや」してしまいました。
 ──で戯言を書き流してしまいました。またもや「不発」っぽいけれど、書いた本人は 少し気が済みました……。 もし、こんなんでよろしければ、どうぞリクをくださいませ。 挑戦してみたいと思います。
 御題提供してくださったKさま、いつもありがとうございます!

2006.04.07.  速世未生 記
(御題其の一)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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