御題其の七
恋に落ちて
「──顔を上げてくれないか」
国主景王は玉座を降りて、傍近くに膝をついた。浩瀚はゆっくりと顔を上げる。その輝かしい翠玉の瞳が間近にあった。
「浩瀚、申し訳なかった。私が不甲斐ないばかりに、ずいぶん酷い目にあわせてしまった……」
「いいえ、私は主上がいつか分かってくださると信じておりましたので」
女王は浩瀚に真摯な顔を向ける。浩瀚は涼しげに応えを返し、再び頭を下げた。
「──何故? 私は何も分からない小娘に過ぎないというのに」
「即位祝賀の折に、私は主上に拝謁いたしました。主上は紛れもなく王として座しておられました」
躊躇いがちにそう問う王に、浩瀚は笑みを向けた。初めて拝謁したそのとき、浩瀚は端然と座す王に言葉を失った。そして年若き女王に頭を下げることを躊躇わなかった。今また浩瀚は、その思いを隠さず、王の前で断じた。
「この国の王は、主上、あなたでございます」
「──ありがとう、浩瀚」
紅の光を纏う女王は、はにかむように礼を述べる。そして、その御名の如く輝かしい陽光の笑みを見せた。その鮮やかな麗しさに、浩瀚は再び言葉を失ったのだった。
2006.04.20.
昨日の私の「叫び」に即行で答えてくださった方々、
どうもありがとうございます!
お蔭さまで復活いたしました! 「黎明」も頑張ってます。
陽子主上の直接の御礼に、浩瀚は心臓を射抜かれてしまったのでした。
──如何でしょうか? こんな感じで。
浩瀚贔屓の方々の反応を、心よりお待ち申し上げております。
──実は「黎明」第24回72章の裏話でございます。
本編を読むと、ああ、浩瀚、君は邪だよって思います。(2006.05.13.追記)
2006.04.20. 速世未生 記
(御題其の七)
けろこさま
2006/04/20 20:21
未生さま、こんばんは。
この場面は「黎明」本編に入るかと思っていたのですが、御題に持ってこられたんですね。
普通は近くで見ることが叶わない主の顔が目の前にあって、しかもうら若い女性の
はにかんだ笑顔…最後に浩瀚の鼓動がドンッ!と跳ね上がる音が聞こえるようです。
これが浩→陽の長〜い始まりv 浩→陽以上がない私にはツボな片恋の始まりです。
…御題、浩瀚出現率高いですよね。たまには景麒ってのはいかがでしょうか(*^o^*)
それでは、失礼します。
未生(管理人)
2006/04/21 04:37
けろこさん、おはようございます〜。
早速のご反応、ありがとうございます!
確かに浩瀚の御題出現率、高いですね。
「黎明」本編で、もっと出てくると思ったのに、そうでもなかったからでしょうかね……。
お題に景麒……。「黎明」で、思ったより沢山書いたので、もういいかも……。
楽しんでいただけて嬉しいです〜。コメントありがとうございました!