御題其の八十一
奏国親子の談笑
「そろそろ休んだほうがよいぞ」
声をかけられて、利達は顔を上げる。そこには湯気の立つ茶杯を乗せた盆を持つ宗王先新の姿があった。
「──お父さん、確かに昼の接見で宗王自ら茶を淹れることもあると申しましたが、早速実践されるとは」
「お母さんと文姫は、それこそ景台輔をもてなしておるよ」
先新は茶杯を息子に差し出しながら笑った。利達は溜息をつく。母と妹が、延王を動かした景王に興味津々だということは知っていた。この度訪問するのが景王ではないのにがっかりしていたことも。しかし、転んでもただで起きる者たちではない。
「──延王の許には、利広が行っているのでしょう?」
「ほう、気づいておったか」
「どう見ても初対面ではないでしょう、あの二人は」
顔を蹙めて答える利達に、先新は楽しげに笑う。こういうことがあるから利広を咎められないのだ、と。利達は抗議の声を上げた。
「利広には、内緒が多すぎる。お父さんは利広に甘すぎますよ」
「その分、お前や明嬉があれを叱ってくれているのだろう?」
それで丁度よいのだ、と先新は柔和に笑んでみせた。利達は肩を竦めて苦笑する。
「──お父さんには敵いませんね」
「まあ、利広のお手並み拝見といこうではないか」
何しろ延王は手強いからな、と先新は笑う。利達は湯気の立つ茶杯を手に取り、そうですね、と笑みを返した。
2007.11.14.
長編「黄昏」第30回の裏話をお送りいたしました。
まったく、楽しいご家族ですね、奏の皆さまは。
この作品は「111111打」をスクリーン・ショット付きでご報告くださって私の胸を
打ったKさまに捧げます。
Kさま、ご所望の利達兄さまでございます。
こんなものでよろしければお受け取りくださいませ〜。
111111打、ありがとうございました!
2007.11.14. 速世未生 記
(御題其の八十一)
Kさま
2007/11/16 00:21
こんばんは。
そこはかとなくにじみでている「苦労性」の長兄の姿がいいですね〜。
利広の手綱を取れるのは利達兄ちゃんしかいませんワv
――いつかしっかりと利広に釘を刺していただかねば(笑)
「お受け取り下さい」って、本当に頂いてもよいのですか(ドキドキ…)?
突発リクさせてもらっただけでも光栄なのに。
未生(管理人)
2007/11/16 13:43
Kさま、いらっしゃいませ〜。
こんな書き流した粗品でよろしければ、どうぞお受け取りくださいませ。
貴重な「萌え」を分けていただいた御礼でございます。
最近、萌え足りないのでございますよ……。
メッセージ、ありがとうございました。