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御題其の八十四
金波宮のクリスマス
冬のある日、ふと鏡を見て陽子は笑みを浮かべた。
私って、クリスマス・カラーなんだ。
蓬莱のクリスマス。プレゼントを楽しみにしていた子供の頃を思い出す。クリスマス・ツリーを綺麗に飾り、赤い服のサンタが現れる夢を見ながら眠った小さい頃。
窓の外に視線をずらす。今、慶の子供たちは、そんな夢を見る余裕があるのだろうか。女王たる己は、サンタのように夢を見せてあげることができるだろうか。
「──綺麗に飾って大人しく座ってくれたら、私たちは素敵な夢が見られるのだけれど」
「ほんとほんと。何よりの贈り物だわ」
思ったことを話して聞かせると、二人の友人はそう言って陽子の腕を取った。男装を好む女王は、苦笑して頷いた。
「じゃあ、今日だけは鈴と祥瓊の願いを叶えることにするよ」
ささやかな宴の席に着飾って出席したら、桂桂が目を丸くして歓声を上げた。
「わあ、陽子、とっても綺麗だよ!」
「ほらね、桂桂も喜んでくれたでしょ?」
耳許で祥瓊が誇らしげに囁く。陽子は片眉を上げて澄まして言った。
「祥瓊、サンタが贈り物をくれるのは、年に一度なんだよ」
2007.12.24.
昨日、クリスマス宴会に行ってまいりました。 潰れてソファで眠っておりましたら、友人Nに乗っかられました。 「私も眠いんだ、いい加減によけろ」だって……。 周りのみんなは「口にじゃがりこ入れるか」「耳にポッキー挿すか」とか言ってるし、 みんな、子供返ってない?
そんなわけで、陽子主上にもクリスマスを楽しく過ごしてほしいなぁ、と思って 今朝書き流しました。お粗末さまでした。
Merry Christmas!
2007.12.24. 速世未生 記
(御題其の八十四)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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