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御題其の百三

(微妙に18歳未満お断り)

紅葉狩り

「美しい紅葉は、もう少し静かに愛でたいものだ」

 伴侶はそう言って陽子の唇を指で塞いだ。口を封じられた陽子は黙って頬を膨らます。伴侶は笑いながら陽子の膨らんだ頬に口づけた。
 唇が、頬から髪に移る。そして、陽子を覗きこむ、深い色を湛えた双眸。引きこまれそうになり、目眩がする。目を逸らして後退ると、背に幹があたった。逃げ道は既に塞がれていた。
 覆い被さる伴侶はにやりと笑い、今度は唇で陽子の口を封じる。口づけが深くなる前に、陽子は小さな声で抗議した。
「──も、紅葉狩りはどうしたの」
「しているではないか」
 伴侶は楽しげに笑い、陽子の頤を持ち上げる。わけが分からずに、ただ目を見張るだけの陽子に、伴侶は熱く深く口づけた。

2008.11.27.
 御題其の百二「かの方の紅葉」の続編でございます。 ああ、オマケ拍手のような内容ですね……(汗)。 一応、御題なので、初稿よりは抑えましたが。
 花になったり葉っぱになったり、陽子主上は大変だな〜。と、他人事のように呟いてみる。
 ストレス解消更新にお付き合いくださり、ありがとうございました〜。

2008.11.27. 速世未生 記
(御題其の百三)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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