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御題其の百十六

黎明と黄昏

「──そうなればきっと、俺は雁を滅ぼしてみたくなる……」

 不安げに首を傾げる若き王から目を逸らし、延王尚隆は低く呟く。そう、暁の女王には分かるはずのない、この昏い物思い。

「──延王?」
 やがて、遠慮がちにかけられる声。尚隆はゆっくりと視線を戻す。翠玉の瞳は迷い、翳っている。

 まだ、知らずともよい。しかし、いつかお前も知るだろう。

 口に出せぬ思いを籠め、王朝の黎明に惑う女王に軽く笑みを返す。そして延王尚隆は、己の先走った期待に、独り自嘲するのだった。

2009.06.01.
 昨年、某所さまの150万打を踏みました。 思わずスクショを撮ってしまうくらい驚いたのでした。
 「尚隆」をリクエストし、シチュ指定までさせていただきました。 大好きな科白でございます。 先日絵師さまよりメールをいただき、声なき雄叫びを上げてしまいました。 ああ、眼福……。
 そんなわけで妄想を昇華させていただきました。 無論、絵師さまには内緒でございます。

2009.06.01.  速世未生 記
(御題其の百十六)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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