「玄関」
御題其の二十一
(末声注意!)
女王の意外な誘い
「──たまには二人きりで話をしたいなあ」
溜息混じりにそんな声をかけると、女王は小首を傾げた。利広は苦笑を浮かべ、きつい目で監視する麗しき女史をそっと見る。ああ、と小さく声を上げ、女王は楽しげに笑った。
「祥瓊は、心配性なんだ」
だからああして私を見守ってる、と続け、笑みを湛えた女王は振り返る。利広には厳しい女史が、目許を和らげ、美しい笑みを見せた。
「私にもああいう顔をしてくれると嬉しいんだけどね」
利広は肩を竦めて嘆息した。すると、女王は桜花の笑みを見せ、不意に悪戯っぽい顔をする。そして、意外なことを言った。
「じゃあ、後で堂室に来て。待ってるから」
「──おやおや、行ってもいいのかい?」
「いいよ」
驚きを隠さずにそう訊くと、女王は軽く応えを返す。そして、おもてなしはできないけれどね、と片目を瞑った。利広は低く笑い、君がいればそれでいいよ、と答えた。女王は楽しげに笑って頷いた。
2009.09.04.
新婚旅行なんて書いていたら、だんだん痒くなってまいりまして……。 気分転換のために書き流したものでございます。 今頃「来訪」連作の一部でごめんなさい〜。
何の含みもなくこういう科白を口に乗せる天然陽子主上、 勿論私の「萌え」ツボをついております(笑)。
お粗末でございました〜。
2009.09.04. 速世未生 記
(御題其の百二十一)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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