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御題其の二十五

(末声及び利陽注意!)

女王の私室

 夜半に堂室を訪った。久しぶりの二人きり。女王はどんな話を聞かせてくれるだろう。しかし。
 女王は榻に坐したまま眠っていた。卓子の上には茶器がふたつ並んでいる。茶を飲み損ねたな、と利広は苦笑する。そして、向かいの榻に腰を下ろし、女王の麗しい寝顔を眺めた。
 自室だからだろうか、それにしても無防備だ。扉の開く音で目を覚ます、との話も聞いたことがあったのに、女王が目を開ける気配はない。

「陽子……襲われたいのかい?」

 密やかな囁きに女王が答えることはない。利広は笑みを浮かべ、女王の傍に屈みこんだ。その背と膝裏に腕を回し、そっと抱き上げる。すると女王は、目を閉じたまま利広の首に腕を回し、子供のようにしがみついた。利広は小さく笑った。

「大丈夫。落としたりしないよ」

 その声が聞こえているのかいないのか、女王が利広から手を離すことはなかった。利広は唇を緩めたまま臥室へと向かった。

2009.10.02.
 連作「来訪」の一編で御題其の百二十一「女王の意外な誘い」の続きでございます。 こんなところで終ってごめんなさい。 でも、御題なのでこの先は自粛いたしました〜。
 新作を読破し、末声に走るこの秋……。 尚隆に詰まり利広に走った、とも(苦笑)。

2009.10.02.  速世未生 記
(御題其の百二十五)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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