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御題其の百三十一

(末声注意!)

冬枯れ

 ふと手を止めて窓の外を見やる。庭院を鮮やかな黄赤に染めていた落ち葉は、すっかり朽ちていた。
 見晴らしが良くなった庭院で、それでも桜の木は端然と立ち続けていた。春に美しく咲くために、冬の寒さは必要なのだ、と聞いたことがある。それならば──。

 この身にも、この寒さは必要なのかもしれない。

 冬枯れた木立を眺め、陽子は薄く笑む。そしてまた、書簡に筆を走らせた。

2009.12.09.
 冬の桜と陽子主上を書き流してみました。 Iさま、妄想を呼び覚ますご感想をありがとうございました。 ごめんなさい、今日はタイムアップでございます〜。

2009.12.09.  速世未生 記
(御題其の百三十一)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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