「目次」
「玄関」
御題其の百三十六
雪の日
窓を開けると、雪の匂いがした。耳を澄ますと、雪の音がした。そのまま目を閉じて、北国の空気に身を任せる。肌を刺すような冷気が心地よかった。
「──こら、寒いぞ」
笑いを含んだ声が、陽子を現に戻す。深い溜息をつくと、振り返る前に温かな身体に包まれた。回された腕を叩き、陽子はもう一度嘆息する。
「雪を感じていたかったのに」
「雪よりも俺を感じていろ」
「──相変わらず我儘だな」
低く笑う伴侶は、咎める陽子に構うことなく窓を閉めた。
2010.01.20.
お仕事文書の作成が終わりました。画像と表を並べる技を覚えました♪
ストレス解消の解放感で軽く書き流した小品でございます。 いったいどこで何をしているのでしょうね? 拍手にしようかとも思いましたが、オマケにするほどではないと思い直して御題にいたしました。 ちょっぴり甘めの二人をお楽しみいただければ幸いでございます。
2010.01.20. 速世未生 記
(御題其の百三十六)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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