御題其の百八十
びっくり返し
「お帰りなさい!」
執務室に足を踏み入れた途端、弾んだ声がした。それが共には暮せぬ伴侶の声だと直ぐに分かりながらも、延王尚隆は入り口で半信半疑のままに立ち止まる。麗しき隣国の女王は、いつもながらの簡素な出で立ちで鮮やかな笑みを見せた。
「驚いた?」
「――そんな貌をしているか?」
素直に驚いたとは言えずに返した答えに、伴侶は大きく頷いてみせる。そして嬉しげに続けた。
「びっくりさせてみたかったんだ」
いつも驚かされてばかりいるからね、と伴侶は悪戯っぽく笑う。尚隆はそれには答えずに伴侶をいきなり抱き上げた。小さく息を呑む伴侶の見開かれた瞳をおもむろに覗きこむ。
「――延王、執務室ですよ」
諫言しながらも、伴侶は女王らしからぬ拗ねた顔を見せる。尚隆は軽く笑った。
「仕事の邪魔をしに来た奴が何を言う」
「邪魔なんかしないよ、仕事できたんだもの」
頬を膨らませて抗議する隣国の女王を黙らせる術を、老獪な雁国の王はよく知っているのだった。
2012.06.11.
いつも拍手をありがとうございます。気持玉もありがとうございました〜。
本日のログ作成に限りがついたので記念に書き流しました。
どういう場面なんだか皆目見当がつきません。
まあ、かなり後の時代、気軽に雁に行けるようになった頃でしょうね〜。
お粗末でございました。。
2012.06.11. 速世未生 記
(御題其の百八十)
senjuさま
2012/06/11 23:11
どうしよう。
「かわいい」の気持玉10個ぐらい付けたいです(笑。
うわぁ##。
未生(管理人)
2012/06/12 06:11
senjuさん、いらっしゃいませ〜。
可愛かったですか、嬉しいです〜。
(利陽につまっているせいか)尚陽を書きたくなります。
楽しんでいただけて嬉しいです!
メッセージ、ありがとうございました〜。
ひめさま
2012/06/15 00:40
ほんとにほんとに陽子さん「かわいい」です。
この場面の陽子さんのかわいさは、
ワタクシ的にはsenjuさんの「よいではないか。」の陽子さんです。
って、…もしかしてsenjuさんには
「はじめまして」のご挨拶もまだだったような気が…(汗)。
改めましてよろしくお願いいたします。
未生さん、この場をお借りしてすみません。
失礼いたしました。
未生(管理人)
2012/06/15 06:02
ひめさん、いらっしゃいませ〜。
嬉しいご感想をありがとうございます。
実は私、「よいではないか」を毎日眺めておりますので、
滲み出てしまったかもしれませんね〜(笑)。
こちらは掲示板、交流の場でもございますので、どうぞお気になさらずに。
てか、昔を思い出して楽しくなりました。
メッセージ、ありがとうございました〜。