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#求婚の日なので我が家の夫婦がプロポーズの思い出を語る

御題其の二百四十七

求婚の時

「あのときはほんとに驚いた」

 ふうと深い溜息をついても、尚隆は楽しげに笑うばかりだ。顔を蹙めて睨めつける。尚隆は陽子の眉間の皺を突いてまた笑った。
「笑い事じゃないんだけど」
「無論だ」
 そう言って伴侶は限りなく優しい笑みを見せた。とんでもない不意打ちに、陽子は言葉を詰まらせる。

「――大袞で正装したお前の百面相は面白かった」

「――ちょっ!」
 酷い、と言いかけた唇を指で塞がれる。陽子を黙らせた伴侶は甘く囁いた。

「美しい涙だったな」

 頬を火照らせて眼を泳がせる陽子の耳には、楽しげな笑い声がいつまでも聞こえていた。

2018.01.27.
 いつも拍手をありがとうございます。

 1/27は求婚の日、とのことでございますが、拙宅の尚陽は既に求婚済でございます。 そこで見つけた都合の良いタグ(笑)。ということで、 おふたりには求婚の思い出話をしていただきました。 陽子主上視点なのとツイッターに直接書いたせいで短いお話となりました。 尚隆に語らせるともっと長くなるんだろうな……(苦笑)。

 気づけばひと月近く更新しておりませんでしたので、お茶濁しの短文を上げておきますね。 少しでもお楽しみいただけると幸いでございます。

 さて、2月になりました。 冬の小品を仕上げたいな〜と思いつつ、祭の準備をしております。 エールをいただけると嬉しゅうございます〜。

2018.02.04.  速世未生 記
(御題其の二百四十七)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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