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常世語のお題(尚陽編)

逞しい半獣

「初めて知った半獣が楽俊だったから分からなかったよ」
 楽俊は鼠だったから、と伴侶は言った。何が、と問うと、伴侶はにっこりと笑う。

「半獣を雇うと税が上がるわけ」

 成程、尚隆は頷く。牛や馬などの半獣は逞しくて力が強い。そのために差別されることもあるのだ。楽俊がいた頃の巧のように。伴侶は楽しげに話を続けた。
桓魋かんたいが熊に戻って戦うところを見て納得したんだ」
 凄かったんだよ、と無邪気に笑う伴侶に苦笑した。
「──で、それを見て、お前は何と返したのだ?」
「どうりで尋常でない怪力だと思った、って」
 何故そんなことを訊くのか、と小首を傾げる伴侶の頭を撫でる。目の前で姿を変えられても動じないこの女王が己の伴侶なのだ、と尚隆は誇らしく思ったのだった。

2011.11.08.
 長い間書かずにいると書けなくなるということに気づきました!  そんなわけでお題を書き流してみました〜。
 あんまり甘くはないですが、お楽しみいただけると嬉しく思います。

2011.11.08.  速世未生 記
(常世語のお題(尚陽編)「た」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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