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常世語のお題(尚陽編)

目立たない串風路ろじ

「こういう目立たない串風路にこそ、面白い店がある」
「──気に入らない」
「何がだ」
「──あなたの言う面白い店って、いつも……」
「お前を楽しませているだろう?」
 にやりと笑うと、伴侶は顔を蹙めて最初の言葉を繰り返した。
「気に入らない」
「だから何がだ」

「だって、慶は私の国なのに」

 唇を尖らせてそう言い募る伴侶は常よりずっと可愛らしかった。正直にそう告げたなら、きっとますます怒るのだろう。尚隆は笑いを堪えながら伴侶の朱唇を啄ばんだのだった。

2011.08.16.
 結構後の時代でしょうね〜。 拗ねる陽子主上も萌えツボでございます(笑)。 お粗末でございました〜。

2011.08.16.  速世未生 記
(常世語のお題(尚陽編)「め」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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