常世語のお題（尚陽編）

乱雑に置かれた衾褥（ふとん）

「なんだ、これは？」
　豪華な牀榻の中に、乱雑に置かれた数多の衾褥。尚隆は呆れ顔で伴侶を見つめた。
「これくらい散らかっていたら、私の寝相が悪いとか、暴れん坊だなんて言われないだろう？」
　伴侶は得意そうに胸を反らした。武断の女王のあまりに可愛い意趣返しに、延王尚隆は目を細めて低く笑う。
「──ということは、これくらい激しくしてもよい、ということなのだな？」
「──誰もそんなこと言ってないよ」
　怖じけた様子で応えを返し、後退る伴侶を無造作に抱き寄せ、尚隆は耳許で囁いた。
「女王さまのお誘いを無下に断ることはできぬな」
　それから尚隆は、絶句する伴侶を熱く抱いた。

2007.06.12.

　「手入れの行き届いた牀榻」の続編になるでしょうか(笑)。 こういうのは、ほんとに、書いてて楽しいのです。（やっぱり腐ってますか……？）
　こんなのを表に置けるようになるなんて、私も羞じらいを失くして来たかもしれません……。（07.09.追記）

2007.06.26.　　速世未生　記