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常世語のお題

大声で叫ぶ荒民なんみん

「いくらなんでも、それは酷いじゃないか!」
 大声で門卒に捲し立てる荒民らしき男を、人々は遠巻きに見つめる。傍らに立つ兄がくすりと笑った。夕暉は眉根を寄せ、不届きな兄を見上げる。
「──兄さん」
「──夕暉、荒民ですら、あれだけ元気に叫べるんだぜ」
 慶も平和になったもんだ、と言って虎嘯は呵呵と笑う。夕暉は一瞬目を見張る。それから、そうだね、と頷き、兄と一緒に笑みを見せた。

2007.02.14.
 「風の万里〜」で陽子が見た荒民は、覇気がなく、どよんとしていました。 それが当たり前なのでしょうが、荒民もそれなりに受け入れてもらえたならば、 これくらい元気になるのではないでしょうか。そんな妄想を纏めてみました。

2007.06.21.  速世未生 記
(常世語のお題「お」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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