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常世語のお題

朽ちた角楼やぐら


「──侯、そろそろこの角楼も修繕した方がよいのでは?」
 州城の朽ちた角楼を見つめる和州侯柴望に、臣が声をかけた。柴望は角楼から目を離さずに応えを返した。
「いや、これでよいのだ」
 かつての和州侯、呀峰に蹂躙されていたこの明郭。豺虎を排し、国に光を点したのは、鮮烈な紅の光を纏う若き女王。柴望は笑みを浮かべて振り返った。

「これは、和州の平和の象徴だからな」

2007.05.14.
 実際にこんなことがあったら、危ないかな〜と思いつつ書きました(笑)。

「ありかも」とご感想をいただきました、ありがとうございます! (2007.07.02.追記)

2007.06.26.  速世未生 記
(常世語のお題「く」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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