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常世語のお題

化粧の濃い花娘ゆうじょ

「──どうかなさいまして?」
「いや、綺麗だな、と思って」
 化粧の濃い、紅の髪の花娘に問われ、利広はにっこりと笑む。しかし、内心は言葉と裏腹だった。
 美しく化粧をし、髪を高く結い上げ、香を焚き染めた花娘よりも、簡素な袍を纏う男装の娘を好もしいと思う。そんな己に気づき、利広は自嘲の笑みを浮かべた。

2007.06.14.
 私が書く利広は、ひとりになるといつも陽子主上を想っているようで、 なんだか気の毒になります。 でも、そこが「萌え」ツボなので、どうぞお許しくださいませ!

2007.07.02.  速世未生 記
(常世語のお題「け」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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