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常世語のお題

しなびた蔬菜やさい

「ああ、蔬菜がしなびてしまった」
「──主がいないと、気が抜けてしまうわね」
「けれど……泰麒なら、勿体ないから食べようよ、とおっしゃったかもしれないわね」
「蓉可は相変わらず泰麒びいきねぇ」
 笑いさざめく女仙たちとともに笑いながら、蓉可は思う。己はずっと、初めて側近く仕えた泰麒びいきでいるのだろう、と。

2007.06.22.
 先日、調べ物をするためにぱらぱらめくっていた「風の海〜」。 探し物は見つからなかったけれど、蓉可がそっと語ってくれたので、よいことにいたします。 きっと、初めてお世話した麒麟は、女仙にとって、特別なのだろうな、と感慨深かったです。

 (蓉可にとって泰麒は「初めてお世話した麒麟」以上の存在ではないでしょうか、 とのご感想をいただきました。ありがとうございます。2007.07.12.追記)

2007.07.09.  速世未生 記
(常世語のお題「し」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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