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常世語のお題
ぬくもりの残る
温婆子
(
ゆたんぽ
)
「こんな冷めた温婆子なんか、いらないわ」
我儘を言い、つんと顔を逸らす主家の娘を見て、恵花は軽く溜息をつく。
「お嬢さん……」
「──だから、これは恵花が持っていきなさい」
珠晶は横を向いたまま温婆子を押しやる。恵花はそれを素直に受け取った。
「ありがとう、お嬢さん」
「さっさと寝に行きなさい」
少し赤らんだ珠晶の横顔に笑みを送り、恵花は一礼して房室を辞す。抱えた温婆子のぬくもりは、恵花の心をも温めた。
2007.08.17.
調べ物をしようと思って「図南の翼」を読み、まんまとハマってしまいました。 珠晶と恵花、よいコンビじゃないかと思います。
2007.08.21. 速世未生 記
(常世語のお題「ぬ」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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