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常世語のお題

眠そうな家公だんな

(……お父さまは昇山しないの?)

 恭国王都連檣。豪商として名を馳せる相如昇は、末娘の問いとともに目を覚ます。が。
 王が登遐して二十七年。それでも如昇は己の才覚で豊かに暮らしている。己が王になろうなど、思ったこともなかった。

 王は必要かもしれない。しかし、その王になるのは、自分ではない。

 改めてそう思う如昇の許に、驚愕の報せが届いた。末娘、珠晶の家出。眠気も吹っ飛ぶその事実に、如昇は頭を抱えたのだった。

2007.09.14.
 調べ物をしようと思って「図南の翼」を読み、まんまとハマってしまったとき考えました。 如昇は、自分の立ち位置に満足しているのだろうな〜と。 苛立つ珠晶を、如昇は理解できないのでしょうね……。

  2007.09.14.  速世未生 記
(常世語のお題「ね」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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