常世語のお題

踏み固められた広途（おおどおり）

　叛乱民に取り囲まれた明郭の街。身の程を知らぬ数多の民に踏みにじられた広途を、粛々と進む軍勢があった。

　禁軍到着。

　待ちに待ったその報に、和州侯呀峰はほくそえむ。愚かな民に蹂躙された広途を踏み固めながら、禁軍は瞬く間に近づく。呀峰は喜び勇んで彼らを迎え入れた。

　王の私軍である禁軍が、その本来の役目を果たすべくやってきたことを、呀峰は未だ知らずにいたのだった。

2007.11.05.

　久しぶりの「常世語のお題」でございます。 長編「黎明」第21回第62章より、禁軍到着に喜ぶ呀峰をお送りいたしました。 そうは問屋がおろさないのだよ、呀峰くん。ご愁傷様でございます〜。

2007.11.05.　　速世未生　記