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常世語のお題

減らず口を叩く匪賊ごろつき

「──匪賊が暴れていると聞いて駆けつけてみれば……」
「人聞きの悪いことを」
 呻き声を上げて倒れている男たちを尻目に、匪賊と通報された男はにやりと笑う。男を睨み、帷湍は蟀谷に青筋を立てた。そんな帷湍を片手で制し、男は笑う。
「事情は帰ってからゆっくり話すとしよう。ここにいつまでもいると騒ぎになる」
 減らず口を叩いて延王尚隆は踵を返す。この昏君が、とこの場で怒鳴れないことを、帷湍は心の底から恨めしく思った。

2007.11.05.
 初書きの帷湍でございます。 陽子主上の時代には登場なさらないので、書く機会がなかったのですが、このお題を見て、つい(笑)。 なんだか、この後のお話も浮かんでまいります〜。

2007.11.05.  速世未生 記
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背景画像「篝火幻燈」さま
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