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常世語のお題

模様の浮き出る羅衫うすもの

「まあ、素敵!」
 主が手にしたものを見るなり、氾麟は歓声を上げた。光の加減で複雑な模様の浮き出る羅衫を広げ、主は楽しげな笑みを見せる。
「でも、主上がお召しになるには、小さいような……。あ、もしかして」
 氾麟はぽんと手を打ち、花のような笑みを主に向ける。主ははんなりと微笑み、頷いた。
「よく似合うと思いますわ。──陽子は嫌がるでしょうけど」
「嫌がるのは景女王だけではないだろうね」
 範国主従は顔を見合わせて笑いあった。

2007.07.04.
 なかなか先に進めないので、中抜けしておりますが出してしまいます。 こんな感じで「常世語のお題(尚陽編)」→短編「駆引」へと続きます(笑)。

   (範国主従の明るい陰湿さがよいとのご感想をいただきました/笑。2007.12.23.追記)

2007.12.14.  速世未生 記
(常世語のお題「も」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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