「目次」 「玄関」

常世語のお題

有名な海客

 房間に戻ると家捜ししている者がいた。達姐は震えて硬直した。
 目を射るような赤い髪、腰に下げた剣。振り返った娘は、ただ呆然と立ち尽くした。

 配浪から逃げ出したという海客に違いない。

 達姐は咄嗟にそう判断した。剣を使われては厄介だ。だが、もし、懐柔することが出来れば──。

 器量のよい目の前の娘を見つめ、達姐は頭を巡らせる。そして、優しい言葉をかけたのだった。

2007.12.07.
 「月の影〜」のあの場面で陽子を言いくるめた達姐って、実は凄い! と思っておりました。 それで、こんな妄想をしてみました。

2007.12.14.  速世未生 記
(常世語のお題「ゆ」)
背景画像「篝火幻燈」さま
「目次」 「玄関」