常世語のお題

留守宅の家生(かせい)

　客の声に応えて入口に立った鉦担は、現れた人物に驚愕した。
「久しぶりね、鉦担」
　笑みを向ける少女に、慌てて叩頭する。相手は目の前で麒麟に選ばれた恭州国の王。主人は留守ですが、と告げると、供王珠晶は事も無げに言い放つ。
「迎えに来たの」
　鉦担は伏したまま固まる。王は構わず続けた。
「十二の子供に国政は任せられないのですって」
　力を貸してくれるわね、と王は笑う。鉦担は、身を震わせつつも王命に従ったのだった。

2011.08.30.

　「図南の翼」室季和さんちの家生、鉦担にご登場願いました。
　１６歳の陽子があれだけ苦労したのだから、１２歳の珠晶はもっと大変だったろうな〜、 でも珠晶は強かだから欲しい人材を自分で迎えに行くだろうな〜との 妄想でございました。 お粗末でございました〜。

　（こういうシチュは有り得ります、とのご感想をいただきました。 ありがとうございました〜。2011.09.05.追記）



2011.08.30.　　速世未生　記