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常世語のお題
怜悧な冢宰
「失礼ながら、主
上──。
初対面にも等しい私の奏上を、そんなに簡単に信用してよろしいのですか?」
新王より冢宰の位を賜ったばかりの浩瀚は、静かにそう問うた。ぴんと張りつめた空気の中、問われた王は笑みを湛えて己の考えを述べる。納得した怜悧な冢宰は、新しき主に恭しく頭を下げた。
どちらも大きくなった。
かつての徒弟と、今の教え子。その二人の逞しく成長した様を、遠甫は何度も頷きながら笑顔で見守っていたのだった。
2009.01.06.
久しぶりの「常世語のお題」でございます。 早々に浩瀚を書いてしまったので、誰の視点にしようかと悩みました。 考えてみれば、慶の面々はかなり書いてしまった……愚かな私。 そんな私を救ってくださったのは老師でございました。
とか言って、実は長編「黎明」最終回第73章の遠甫視点でございます。 結局連鎖妄想でごめんなさい〜。
2009.01.06. 速世未生 記
(常世語のお題「れ」)
背景画像「篝火幻燈」さま
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