「投稿作品」 「祝10周年帰山祭」

祭りもあと少し…寂しいです つくしさま

2015/10/14(Wed) 21:55 No.129
 南の九州でも上着が必要になりました。道には銀杏がたくさん落ちています。 今夜から福岡はソフトバンクホークスのクライマックスシリーズで熱くなります!
 「帰山祭」お祭り終盤ということで寂しいです・・・
 「窓の中」未生さまの奏国バージョンを拝読して、 雁国バージョン小品をひねり出してみました。
 「窓の中」には、いつも逃げられてばかりの気の毒な方々が・・・ 彼らの愚痴がメインになり、尚隆は一言だけ、その上利広は直接登場致しませんが、 よろしいでしょうか?

「帰山で十題」其の十

窓の中

つくしさま
2015/10/14(Wed) 21:55 No.129
男は窓枠を壊さんばかりに握りしめ、空を睨んでいた。
「また逃げられたのですか? 帷湍」
「くっそぉ〜! 珍しく朝議に出て、あの装束のままなら何処へも行けまいと思って居ったに!」顔を真っ赤にして憤る帷湍。
「仕方ありませんねぇ〜 まあ此度はそう長くはかからないでしょう」と涼しい顔で持ってきた文箱を卓に置く朱衡。
「なんでそう言えるのだ?」と帷湍は拳を握り振り返る。
「先ほど冢宰に慶国より青鳥が参りまして、来週、陽子様が例の大使館の案件でお出でになるとのことです」
「だったら猶更早く見つけて連れ戻さねば!」
「言ったでしょう? 冢宰宛の青鳥だと」
一瞬の間をおいて、そうか!と手を打ち、帷湍が悔しがる。
「そうか! あいつには陽子様からすでに鸞が届いていたということか!」
「ですから、きっとお迎えにいらしたのでしょう」と朱衡が窓から東の空を見る。

「あのさぁ〜 慶から青鳥が来たって? ・・あれ!尚隆は?」
六太が桃に齧り付きながら呑気に入ってきたが、帷湍の真っ赤な顔を見て一歩後ずさった。
「ちぇっ! あいつまた逃げたのか・・・」不味い所に来てしまったと回れ右しようとしたところを帷湍に襟首を掴まれた。
が、帷湍の手元には台輔の装束だけが残されていた。
間一髪、転変した六太が窓を抜け、空に駆け上がって行く。

「ったく・・・うちのやつらと来たら揃いも揃って・・・」がっくりと肩を落とす帷湍。
「今更変わりようがないでしょう。放浪癖は確かに困ったことではありますが、諸国や蓬莱から役立つ情報を得ているのも事実ですしね。大国奏にも情報通の第二太子がおられて、国策を立てる上で役立っているとか」
「奏国の第二太子もフラフラ出歩いているとは聞いているが、それは王と第一太子、宗麟がちゃんと国に居てこそだろうが!」
「うちにはそういうお人はいないのですから、言っても詮無いことでしょう。さぁ帷湍、準備に取り掛かりましょう」
先に立って執務室を出た朱衡は心の中で呟いた。
「変わった時が寧ろ・・・変わらぬ日常に感謝するべきなのでしょうねぇ・・・ 」


「陽子、息災だったか?」
「よう! 迎えに来てやったぜ!」
夕日を背に呑気に手を振る不良主従に、呆れ顔で目を向ける景王陽子の姿が、金波宮執務室の窓の中にありました。

後書き つくしさま

2015/10/14(Wed) 21:55 No.129
 毎度おなじみの雁国執務室の窓の中の風景。 帷湍は仙でなければ高血圧で脳卒中の危険大です。 帰る山(王宮)で待ってくれてる人がいてこそ、フラフラと出歩ける二人。 幸せ者ですねぇ〜
 「王気」が見える六太が出奔に気付かず執務室に来るのはちょっと変ですが、 まだ近くで着替えていたということで、どうかご容赦ください。
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背景画像「吹く風と草花と-PIPOの部屋」さま
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