慶国秘話@管理人作品第2弾
2016/09/09(Fri) 12:03 No.40
皆さま、こんにちは。
本日の北の国、最低気温は14.3℃、予想最高気温は20℃でございます。
つい1週間前には真夏日だったとは思えません(苦笑)。
温帯低気圧になった台風13号マーロウが未だ暴れているようでございます。
北の国北部は酷い雨のようで……。東北も大変そうですが、皆さまは大丈夫でしょうか?
祭の賑わいが癒しになることを願って已みません……。
いつも祭にご投稿及びレス、拍手をありがとうございます!
祭にとって拍手はツイッターでいう「いいね」でございます(笑)。
どんどん押していただけると嬉しく思います〜。
「いいね」と違って個々人に直では送れませんので、
「○○さんの××がイイ!」と叫んでいただけると
管理人が掲示板に転載してお伝え申し上げます。
皆さまの雄叫びもお待ち申し上げております〜。
さて、管理人、9月も9日を過ぎて漸く第2弾でございます。
既に延長フラグが立っているような……(苦笑)。が、頑張ります!
※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。
- 登場人物 尚隆・氾王・陽子・氾麟・六太
- 作品傾向 コメディ?(密かな延氾対決/笑)
- 文字数 1196文字
慶国秘話
2016/09/09(Fri) 12:04 No.41
夏から秋へと季節は移ろっていく。しかし、泰麒捜索に進展は見られなかった。連日あちらとこちらを往来する麒麟たちは無論、留守居をする王たちもまた疲労が見え隠れする。倦怠感に包まれた蘭雪堂では、些細な諍いが起こるようになっていた。
小さな疑問を口にしただけで、氾麟から激烈な反応を喰らった。更に氾王からも理路整然とやりこめられ、それから延王尚隆は口を噤んでいる。蓬莱から戻ってきた麒麟たちも、上がらぬ成果に口を開く余裕もないようだった。そんなときのこと。
しばらく席を外していた二人の王が蘭雪堂に戻ってきた。先に立つ氾王は満面の笑みを浮かべ、後ろに控える景王は仄かに頬を染めて恥ずかしげに俯く。
「どうだえ、美しかろ?」
楽しげにそう言って、氾王は景王を皆の前に押し出す。いつも男物の袍を着用している女王は、華やかな襦裙を纏い、豊かな緋色の髪を綺麗に結い上げていた。
久々に見た公にできぬ伴侶の娘らしく美しい姿に、尚隆は束の間息を呑む。
「まあ、陽子、素敵だわ!」
「綺麗だぞ、陽子!」
たちまち上がる賑やかな声。尚隆はすぐに己を取り戻す。見ると、気怠げに榻に凭れていた氾麟はぴょんと跳ね上がり、だらしなく小卓に腰かけていた六太も勢い込んで飛び降りた。主の男装を好まない景麒は僅かに眼を瞠った後で満足げに唇を緩め、表情豊かな廉麟はにこやかに頷いた。
麒麟たちは羞じらう女王を取り囲み、口々に賛辞を送る。そして、仕掛けた氾王は、楽しげに尚隆を見やった。
「猿王、どうしたのじゃ? ……さてはおぬし、景女王に心を奪われたね?」
「──それは貴様のほうだろう」
天敵は穿ったことを言ってくる。無論、そんなことはおくびにも出さずに即応戦した。こやつが陽子を気に入っていることなど端から分かっている。しかし、頑なに男装を通すこの女王に襦裙を着せるとは。
にやりと質が悪い笑みを浮かべ、氾王は扇子を広げる。それからゆっくりと視線を周囲に巡らせて、再び尚隆を見据えた。
「無論じゃ。眼福であろ」
そう、出会った時から鮮烈な娘だった。一度眼をやると視線を外せないような類の。改めて麒麟たちに囲まれている陽子を見やる。
「もとより綺麗な娘だがな」
粗末な胞子を着ていても鮮やかな陽子が、娘らしく着飾れば、艶やかさがいや増す。薄化粧を施された顔が朱に染まっているのはきっと羞恥のせいだろう。
「素直でないねえ」
「抜かせ」
氾王は可笑しげに返す。己の見立てと技に自信を持つそんな物言いに、尚隆が素直に頷けるわけもない。いつもの舌戦がひとしきり続いた。しかし。
気づけば肩の力が抜けていた。蘭雪堂を覆っていた倦怠感がいつの間にか払拭されている。口達者な氾麟と六太は、今なお頑なに目を伏せる女王を褒め称え、その頬を更に紅潮させていた。
「どうだえ、美しいものにはかほど力があるのじゃ」
にんまりと笑む氾王に肩を竦めてみせながらも、尚隆は内心侮れぬ男に賛辞を送るのだった。
2016.09.09.
後書き
2016/09/09(Fri) 12:07 No.42
第2弾もリクエスト昇華でございます。
拙作「華やかな襦裙」尚隆視点になります。
更に申し上げますと、「氾王の悪戯」から始まる小品連作の一部でございます。
これだけでも解るとは思いますが、ご興味おありの方は
拙宅にて「黄昏余話」@夜話本館をご覧くださいませ。後日譚もございます(笑)。
陽子主上の厳命により秘められた黄昏余話となっていることでございましょう。
実は動揺を隠したがるかの方の口が重く、案外てこずりましたが、楽しく書き上げました。
お楽しみいただけると嬉しゅうございます。リクエストありがとうございました!
皆さまの素敵な「黄昏」をまだまだお待ち申し上げておりますね〜。
2016.09.09. 速世未生 記
- 黄昏余話『華やかな襦裙』で氾王に着飾せられた陽子を見た時の
尚隆の内心の動揺ぶりが見たいです。
もっと素直になりましょう(笑) 篝さま
2016/09/09(Fri) 21:12 No.43
んあああああ、もう、もう、殿の反応に身悶えしっぱなしでございます〜〜〜〜!!!
(机バンバン)
はあはあはあ…。もうこれ以上何も言えませぬ。
ありがとうございます、ありがとうございます(叩頭礼)
あと密かに景麒の反応もお気に入りです(笑)
素敵な作品をありがとうございました!
お待ちしておりました! 文茶さま
2016/09/10(Sat) 09:17 No.46
おぉ..尚隆殿やっと重い口を開いてくださいましたか!
氾様の手にかかれば陽子主上はどれほどお美しい姿になるでしょう...(溜息)。
そのお姿を前に動揺を悟られないとはさすがは武士。
しかし心内でぐるぐるしている様がなんとも可愛らしく(笑)。
今回ばかりは氾様に白旗を掲げますよね〜。
素敵なお話をありがとうございました!
ご感想御礼 未生(管理人)
2016/09/10(Sat) 10:18 No.49
拙作にご感想をありがとうございます〜。
篝さん>
うふふ、そんなに悶えていただけて、書いた甲斐がございました〜。
景麒の反応にも目を留めてくださりありがとうございます!
景麒はさぞかし氾さまに感謝していると思います(笑)。
文茶さん>
はい、もうかの方の口が重くて重くて(笑)。
「俺は動揺などしてない」と強がるものですから、最初はかなり素っ気ない文章でございました。
宥めて賺して少しずつ加筆を進めました〜。お楽しみいただけて嬉しゅうございます。
リクエストありがとうございました!
Re: 漸く第2弾 由都里さま
2016/09/10(Sat) 22:29 No.52
明るい第2弾、楽しんで拝読しました!
照れてる陽子さんかっわいいです!
きっとあんな恰好しているんだろうなと、即脳内にぽわわ〜んとイメージが浮かびました。
そして尚隆。まるで500年生きているとは思えないほど瑞々しい反応ですね!
やはり恋は人を若くするのでしょうか(笑)
未生さんは同じシーンで複数人を一斉に動かすのがお上手で、心から尊敬申し上げます。
がやがやとした喧騒が聞こえてくるようでした。
素敵な作品を読ませて頂きありがとうございます。
「ぐっじょぶ」いただきました(笑) 饒筆さま
2016/09/11(Sun) 00:55 No.55
仏頂面ながら内心で「ぐっじょぶ」を贈る延さまと、
それを超ドヤ顔でいじってる氾さまの図を思い浮かべて吹き出してしまいました(ぷぷっ!)
喧嘩する程仲が良いって感じの名コンビですね〜。
ああ、麒麟さんたちを元気にするほど&
無事氾さまのお眼鏡にかなったお召し物を見てみたい!!(ジタバタ)
楽しい一幕をありがとうございました♪
納得 ネムさま
2016/09/11(Sun) 12:48 No.57
「美しいものには力がある」
納得ですね〜。ロウソク一本の灯くらいだった蘭雪堂の中は、
100W電球が着いたくらい明るくなったでしょう。
しかも氾国製のクリスタルガラスのシャンデリア付き
(もっと美しい例を書きたかったのですが、私の語彙力ではこれまでです 汗)
己の審美眼に合わない者はバッサバッサ切り捨てていく氾様ですが、やはり気遣いの方ですね。
尚隆のくやしそうだけど、敵わないと肩を竦めている姿が見えるようです。
楽しいお話、ありがとうございました!
ご感想御礼 未生(管理人)
2016/09/12(Mon) 00:45 No.82
由都里さん>
拙作をお楽しみくださりありがとうございます〜。
え、え、陽子主上どんな格好してらっしゃるんですか。
是非そのイメージを描いてみてくださいませ! お待ち申し上げておりますよ〜。
またまた過分なお褒めのお言葉を……(照)。大変光栄でございます!
饒筆さん>
素直に「ぐっじょぶ」できないんですよね(苦笑)。そこがかの方の魅力でもございますが。
そうそう、このお二人、実は仲良しさんなんだと思っております!
陽子主上の御召し物は言葉にできぬほど素晴らしいのでございましょう
(単に私の語彙力が足りないだけ/笑)。
ネムさん>
いえいえ、素晴らしい語彙力でございますよ〜。ぱっと頭に浮かびました(笑えました)。
匠の国の王である氾さまはその美学で気も使うというお話、
お楽しみいただけて嬉しゅうございます。ありがとうございました!
ドキがムネムネしました! 葵さま
2016/09/14(Wed) 20:44 No.99
未生さま、こんばんは!
御囃子に引き寄せられてふらふらと素敵なお祭り会場に迷いこんでみましたら、
未生さまの描かれる華麗な一幕にドキュンと胸を射抜かれてしまいました。
なんと素晴らしい…!
あまりにドキュンしたので、
ムネがドキドキが倒置してしまってドキがムネムネしております。
陽子さんの美しい姿を一目みた尚隆さんのモゴモゴ口ごもり具合がたまりません。
好きな女性の珍しい姿を見たらそれこそ口から魂が抜けますでしょうとも。
すべて心得て演出を仕組んだ氾王君の、
お国での名君ぶりが垣間見えるところもとってもツボでございました。
美こそ力、まさに名言ですね! 尚隆さんにメロンパンを差し上げたい心地でいっぱいです。
メロメロぱーんち!
心つかまれるお話を読ませていただいてありがとうございました!
ご感想御礼 未生(管理人)
2016/09/15(Thu) 00:23 No.112
葵さん>
拙作をご覧くださりありがとうございます! 楽しいご感想、笑わせていただきました〜。
いやほんと、メロンパンを差し上げたいですね!
メロメロぱんち喰らっちゃってますからね(笑)。氾さまお見事です。
おいしい AIKOさま
2016/10/04(Tue) 22:14 No.253
こんにちは! この二作品目のシチュエーションめっっっさ好きです…!
普段男物しか着ない陽子がきれいにするともうそれはそれは美しいでしょうね…!!
私陽子クレイジーなのでもう大変おいしくいただきました!
こういうの読みたかったですありがとうございます!
未生さまの作品、またサイトのものごとゆっくり読まさせていただきますね!
ご感想御礼 未生(管理人)
2016/10/06(Thu) 01:01 No.260
AIKOさん>
拙作をお楽しみくださり、ありがとうございます〜。
そうですよね! いつも襦裙を持って走る祥瓊をぶっちぎる陽子主上ですが、
とうとう襦裙を着せられました。氾さまお見事でございます。
あまりの美しさに描写できませんでした(笑)。
わ、拙宅は駄文がてんこ盛りでございます。
お好きなものをゆっくりとご覧くださいませ〜。