黄昏と暁の狭間に
ネムさま
2016/10/03(Mon) 23:01 No.249
その@
「祥瓊。先が尖り気味で、花びらが5枚ある花って、何だろう」
「陽子ったら、急にどうしたのよ」
「う~ん。さっき浩瀚の机の上に置いてあった表の端っこに、小さく描いてあったんだ」
「花の絵が描いてある書類? 一体、どんな内容なの」
「きっちり引いた枠線の中に、例の如く几帳面な細か~い字が書き連なって…」
「陽子。いい加減に字を覚えてよ…」
「もう少し大きくて、一字一字分かれて書いた字なら、何とか読めるよ。
とにかく、表の脇に〇とか×とか書いてあるから、何だろうと思って見たら、表の一枚一枚に花とか動物の絵が描いてあったんだ。何かの印(マーク)みたいだった」
「あの浩瀚様が絵をねぇ…。丸い花びらなら桃か梅でしょうけど、尖っているなら李の花かしら」
「李かぁー」
「それは李斎殿の言動を拝見していたからですね。主上に対する態度、我々に対する態度、あるいは虎嘯に対する…」
内宰の謀反の後、一つ一つきっちり理由を述べて解説する冢宰に頷きながら、頭の片隅で陽子は思った。
― やっぱり、あれ、採点表だったんだ… ―
そして、虎や熊などの絵と一緒にあった、お陽様マークの表に何が書かれていたのか、見たいような見たくないような、複雑な気分になってくるのだった。