女王の手料理@2周年記念リク第8弾
2007/09/13(Thu) 05:54 No.48
なんだか出たり入ったりしているうちに、頭が壊れてまいりました。
そうこうしているうちに、9月も半ば。進捗状況半分はまあまあですね。
それでは、連作「慶賀」より「贈物」余話いきます。
※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。
- 登場人物 尚隆・陽子
- 作品傾向 コメディ
- 文字数 729文字
女王の手料理
2007/09/13(Thu) 05:57 No.49
「──手料理を所望しよう」
「は?」
伴侶は呆気に取られて目を見張る。そんな伴侶に笑みを送り、尚隆は続けて言った。
「贈り物のお返しに手料理を、と言えば納得するか?」
そのまま伴侶の左手を取る。伴侶はそっと薬指に光る銀色の指輪に目を落とし、頬を染める。そして羞じらいながらも小さく頷いた。
「──
尚隆」
「なんだ?」
「──見ないで」
厨房で包丁を持つ伴侶は、眉間に皺を寄せてそう言った。その手許をじっくりと眺めていた尚隆は、首を傾げて伴侶を見下ろす。
「緊張するじゃないか!」
伴侶の応えに尚隆は大笑いした。案の定、伴侶は顔を真っ赤にして言い募った。
「笑いごとじゃないってば!」
「──慣れろ」
にやりと笑い、尚隆はそう断じる。伴侶はぽかんと口を開けた。
「ここは雁なのだから、延王の命に従え」
澄ました顔で畳みかける尚隆を、伴侶はまじまじと見つめる。それから肩を竦め、深い深い溜息をついた。
「──延王の仰せのままに」
けれど簡単なものしか作らないからね、と伴侶は念を押す。尚隆はにっこり笑って頷いた。
やがて、厨房によい匂いが広がる。伴侶は少し焦げた卵焼きと不恰好な蔬菜の汁物を大卓に並べた。ほんとはもう少し巧くできるのに、と呟く声に、尚隆は小さく吹き出した。
「美味いぞ」
尚隆は満面の笑みを浮かべて感想を述べた。心配そうに覗きこんでいた伴侶は、安堵に満ちた笑みを見せた。
「女王さまの手料理をいただけるとは、俺は幸せ者だな」
「女王に命じて食事を作らせる王さまにしては、殊勝な言葉だね」
片眉を上げて言い返す伴侶に、尚隆は大きく笑う。それから口許を歪めて続けた。
「ものはついでだ、食べさせてもらおうか」
「──調子に乗りすぎ!」
伴侶は顔を蹙めて横を向く。尚隆は微笑んで朱に染まった頬に口づけた。
2007.09.13.
後書き
2007/09/13(Thu) 06:06 No.50
──いやはや、頭壊れてます。
書いたときは思わなかったのですが、寝かせて推敲したら、やたら恥ずかしいです。
けど、「慶賀」のお話はどれもこれも恥ずかしいので、開き直ります。
リクエスト、ありがとうございました〜。
2007.09.13. 速世未生 記
- 尚隆の甘々感がとってもステキで、読ませて頂いてます。
陽子の手料理編なんて見てみたいです。
ご感想ありがとうございました! 未生(管理人)
2007/09/14(Fri) 08:32 No.53
はい、だんだん胸焼けしてきております。去年もそんなことを言っていたような気が……。
進歩のない私。
けろこさん>
くくく、行間を読み取ってくださってありがとうございます〜。
ほんとは破天荒な王さまの勅命に目を剥く厨房の連中とか、隣国の女王に料理をさせるとは!
って目くじら立てる側近とか、書き込みたいんですよ。
けど、そういうのを書いていくと、話がいつまでたっても終わりません。
だから、枝葉を全部削ぐんです〜。
そこらへんを汲んでくださってありがとうございます!
ついでに、その妄想を描いてみてくださいよ! (とおねだり♪)
ひめさん>
ほんとに鍛えられてしまったのですね! 私はまだ恥ずかしいのだけれど。
だって、リクエストがなかったのですもの……。ごめんね、浩瀚。
けれど、冬に私の仕事が忙しくなってきたら、きっと頻繁に登場なさると思いますので!
(キレる会議の後には必ず浩瀚に頼る私……)
さあさ、連鎖妄想もお待ち申し上げておりますよ〜。