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風の祝福@2周年記念リク第14弾

2007/09/30(Sun) 11:11 No.121
 さてさて利広です。 「誘惑」を書き進め、「深謀」を読み返し、なかなか本音を言ってくださらない利広に 挑戦いたしました。それでは「慶賀」余話をどうぞ!

※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。

風の祝福

2007/09/30(Sun) 11:16 No.122
 前代未聞の慶賀の報せが、各国を駆け巡った。雁州国国主延王尚隆と慶東国国主景王陽子の、王同士の婚姻である。
「──へえ、風漢、やるなあ」
 旅の途中でその報せを耳にした奏南国太子卓郎君利広は、ひゅうと口笛を吹いた。そして、唇に笑みを浮かべる。
 利広は風漢と名乗る風変わりな男と、遥か昔に市井で出会った。その後、何度も邂逅を繰り返し、その正体を知った。けれど、正式に王宮で顔を合わせたことなど数えるほどだ。だから、利広にとって延王尚隆は、いつまでも風漢であった。
 その風漢の想い人は、輝かしい翠玉の瞳と燃えるような紅の髪を持つ麗しき乙女。市井にあっても見紛うことない、鮮烈な女王である。

 陽子。

 胸でその名を呟くと、少し切なかった。初めて出会ったあのときが、色褪せることなく蘇る。ただ一度きりの僥倖は、泡沫の夢のようだった。もう一度、夢を見る度にそう思った。しかし。

(私は誰のものでもないよ)

 きっぱりと言い切りながら、その勁い瞳が見つめるのは、ただ一人。そんな一途な陽子だからこそ、余計に心惹かれるのかもしれない。

「──おめでとう、陽子」

 舎館の房室に戻り、利広は独り盃に酒を注ぐ。そして、麗しき紅の乙女の鮮やかな笑顔に、ゆっくりと酒盃を掲げた。その途端、花のように美しい女王の隣に、人の悪い笑みを見せた男がしゃしゃり出る。

「悪いけど、風漢には言ってあげない」

 不機嫌にそう呟いて、利広は杯を乾かした。卓子に酒盃を置き、利広は小さく息をつく。
 きっと、二人の仲を公にしなければならないわけができたのだろう。いつまでも純粋な女王に苦労する風漢が、ありありと目に浮かぶ。けれど。

「──自業自得だよ、風漢」

 くつくつと笑い、利広は再び杯に酒を満たす。そして、苦笑する風漢を思い浮かべ、酒盃を掲げた。

「麗しき紅の女王に、乾杯」

2007.09.30.

後書き

2007/09/30(Sun) 11:26 No.123
 尚隆と陽子の慶賀を知った利広をお送りいたしました。 解っているからこそ、二人にちょっかいをかけたがる御仁は、やはり冷静でしたね〜。
 Kさま、リクエストありがとうございました〜。

 さてさて、残り2本でございます。今日中にできるでしょうか?  それともすごすごと祭延長を宣言するのでしょうか?

 ──天帝のみぞ知る(笑)。

2007.09.30.  速世未生 記

利広らしい けろこさま

2007/09/30(Sun) 22:22 No.125
 陽子を思い浮かべたらもれなく尚隆が付いてくる所が、彼のお方のスゴイところなのか、 奏の御仁の悲しいところなのか(笑)
 冷静に、だけどやっぱり直接ではなく、離れた場所から密かに祝福するのみなのですね〜。 陽子の幸せを祝福しながらも、たった一度の僥倖を胸に陽子をしつこく、 もとい気を長く思い続けるのは、いつかまた陽子との邂逅が用意されていると 信じているからなのかしら?
 こちらのサイトで一番本音を語らない利広を書いていただき、ありがとうございます。 そして、やっぱり利広を褒めきれないワタクシめでゴザイマシタ(笑)

ご感想をありがとうございました 未生(管理人)

2007/10/01(Mon) 05:44 No.127
 けろこさん、いらっしゃいませ〜。
 なかなか本音を語ってくださらない風の御仁、密かに祝福しておりましたね。 実はセットで二人が好きなくせに、そんなことは絶対口に出さないだろうなぁ〜(妄想)。 そして、天の配剤を信じているお方なので、これからもちょくちょく現れるのでしょうね(笑)。
 ご感想をありがとうございました〜。

祭延長のお知らせ 未生(管理人)

2007/10/01(Mon) 05:49 No.128
 あとふたつが仕上がらず、すごすごと延長を宣言いたします。 あまり浮上できない週末を最終日にしたことを反省しつつ。
 最終日は9月35日もとい10月5日(金)といたします。どうぞよろしくお願いいたします。
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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