花を待つ者@3周年記念リク第4弾オマケ
2008/09/22(Mon) 14:10 No.74
土日はほとんど浮上できず、ストレスが溜まっております。けれど、最後のひとつもまだ……。
そんなわけで、ちょっと寄り道、というか、脱線、というべきか。
奏の兄妹話なんかを書き流してみました。
- 登場人物 利広・文姫
- 作品傾向 ほのぼの(コメディ?)
- 文字数 664文字
花を待つ者
2008/09/22(Mon) 14:13 No.75
「──今度は冢宰なのね」
そう呟いて文姫は深い溜息をつく。妹の嘆きに、利広はくすりと笑って声をかけた。
「まあまあ、文姫。慶はまだ国主が国を離れられるほど落ち着いてはいないんだよ」
「だって、兄さま。あたしだって景女王にお会いしてみたいのに……」
虎視眈々と景王拝謁の機会を狙っていた文姫は口を尖らせる。確かに、前回慶からやってきたのは宰輔景麒だった。宰輔の語る女王の為人に、文姫はますます興味を募らせていただけに、今回の訪問者が冢宰と聞いたときの落胆は大きかったようだ。
「冢宰がどのように主を評価しているかが分かれば、ご本人にお目にかかかるのがますます楽しみになるだろう?」
利広は文姫を軽く慰める。しかし、文姫は動きを止め、利広を横目で睨めつけた。
「兄さまは、抜け駆けしているからそんなことを言えるのよね」
「おや、穏やかでないことを言うんだね」
「知ってるんだから。──兄さまは景女王にお会いしたことがあるんでしょう?」
我が妹ながら鋭いことを言う。
胸で呟きながらも利広は妹の肩をぽんと叩く。そして、にっこりと笑んで答えた。
「そんな幸運な僥倖が、何度もあるわけがないだろう?」
珠晶に会えただけでも物凄いことなんだよ、と続けると、文姫は疑わしそうに利広を見つめる。しかし、やがて小さく肩を竦め、諦めたように嘆息した。そして、文姫は再び利広を睨めつけた
「そういうことにしておいてあげるから、逃げたりしないで準備を手伝ってね」
「うわ、先手を打たれたら仕方ないなあ。文公主の仰せのままに」
利広は尊大に命じる妹に恭しく拱手し、笑みを隠したのだった。
2008.09.22.
後書き
2008/09/22(Mon) 14:17 No.76
第4弾「花を守る者たち」の前段階、浩瀚を迎える前の奏国清漢宮でのひとコマでございます。
「黄昏」にて陽子主上に会えなかった文姫ちゃん、てぐすねを引いて待っているだろうに、
との妄想でございました。さて、陽子主上はいつ文姫のラブコールに応えてくれるでしょうか(笑)。
連鎖妄想、お粗末でございました。
2008.09.22. 速世未生 記