頬を染めたわけ＠３周年記念リク第５弾

　なつメロに癒されつつ書いた作品でございます。といっても、またもや連鎖妄想……。 芸がなくてごめんなさい〜。
　それでは小品「薮蛇」裏話をどうぞ！

• 登場人物　　祥瓊・陽子・桓魋
• 作品傾向　　ほのぼの？
• 文字数　　701文字

頬を染めたわけ

　気づくと優しい視線があった。頬が熱くなりそうで、知らぬ振りを続けた。それでも、包みこむような温かさが、心地よい──。

　翻る緋色の髪を、祥瓊は今日も追いかけていた。手に襦裙を握りしめ、己も髪を振り乱しながら。いつものやりとりを懲りずに続け、そしてまた陽子に逃げられた。どうしていつもいつも巧く躱されてしまうのだろう。しかも、今日の言い訳は──。
「桓魋《かんたい》。何故、私がお前たちの目を楽しませなければならないんだ？　──それは私の役目ではないだろう？」
「と、申しますと？」
「ここに艶やかな花がいるじゃないか。金波宮きっての美しき女史が」
「──なるほど」
　素直に納得されて、かっと頬が熱くなった。

　ほんとうに私のことを美しいと思っているの──？

　無論、口に出せるはずもない。動揺したところを、極上の笑みを浮かべた陽子に止めを刺されたのだ。
「──な？　だから美しい装いは、祥瓊に全面的に任せるよ。そのほうが王宮も落ち着くだろうから」
　その美しくも凛々しい笑顔に、祥瓊は思わず見とれてしまった。頬を染めて言葉をなくした祥瓊に駄目押しをし、陽子は颯爽と去っていく。後に桓魋一人を残して。我に返った祥瓊は溜息混じりに呟いた。
「ああ、また逃げられた……」
「主上のほうが、一枚上手だな」
　桓魋がくすりと笑みを向けてくる。いったい誰のせいだと思っているのだろう。そして──そんな笑みを無防備に寄越すなんて。祥瓊はつんと顔を逸らし、冷たく言い放った。
「──その辺の男より、陽子のほうがずっと漢前だわ」
「──薮蛇だな」
　そう言って苦笑し、桓魋は頭を掻く。

　頬を染めたわけを悟られなくてよかった。

　祥瓊は密かにそう思ったが、顔に出すことはなかったのだった。

2008.09.24.

後書き

　「祥瓊の恋」といえば「薮蛇」でしょう！　とリクをいただいたときから思っておりました。 なのに、祥瓊はずっと胸の内を語ってはくださらなかったのです〜。 今朝、冒頭が降りてきたときは狂喜乱舞いたしました（大袈裟／笑）！
　Ｋさま、リクエストありがとうございました！

　さてさて、リクエストは全昇華いたしましたが、あと一日ありますので、 もうひとつくらい書けるといいなぁと思っております！
　駆け込みのご投稿もお待ちいたしておりますよ〜。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2008.09.24.　速世未生　記

• 鈴の恋心を昨年書いたのだから、今年はやっぱり祥瓊でしょうｖ　 公主時代のが来るか「黎明」以降のが来るか、楽しみだわ〜（ふっふふふ…）
• （３０代・近畿・お任せ・祥瓊・Ｋさま）

乙女心　ひめさま

　お邪魔いたします。
　「雨の庭院」「雨上がり」からつながっていたとしてもおかしくないような気がします。 が、その前に「憧憬」があるのでしたら少々違和感もありますかね？

う〜ん、ほのぼのだわ〜♪　Ｋさま

　やっぱり桓祥は、ほのぼのが似合うと私は思います〜。 祥瓊も、以前書かれた鈴も、なんとも可愛い幸せな恋をしていますね。 陽子がちょっと辛い恋をしているだけに、この二人の恋にはホッとします。
　……でもこれから、「雨の庭院」まで一体何年経つのだろう？(笑)

　おや？　ひめさん、今日もニアミスですね〜(笑)

素敵ですねえ〜（ぽ）　空さま

　空も桓たいと祥瓊が仲良しだったらいいなあと思っています。 こういった、情景大好きです。 桓たいの幸せ者！　祥瓊も、仕事の疲れが癒されるでしょうね。 陽子さんのことは心配でしょうけど。
　それから、未生さま
　お祭りご苦労様でした。 今夜来られるかどうかわからないので、こちらでご挨拶させていただきました。 こちらが終わりましても、また来させていただきます。 素敵な企画があったら、まぜてくださいませ！

ありがとうございます♪　未生（管理人）

ひめさん＞
　「薮蛇」は「黎明」後の早い時期のお話でございます。 でもって、「憧憬」は「包容」頃のお話なので、恐らく陽子登極後２０〜３０年以降になると思います。 なので、「頬を染めたわけ」では祥瓊が意地を張っているのです〜。

Ｋさま＞
　リクエスターのご登場、嬉しいです〜。 ほのぼの桓祥をお楽しみくださってありがとうございました。
　確かに三人娘の中では陽子が圧倒的に辛い恋ということになるでしょうね。 それが作者の萌えなのでお許しくださいませ！
　さて、上に解説したとおり、「頬を染めたわけ」から「雨の庭院」までは恐らく ざっと２０〜３０年は経っております(笑)。 桓魋も気が長いなぁと改めて感心いたしました〜。

空さん＞
　ほのぼのな桓魋と祥瓊をお楽しみくださってありがとうございます♪　 実は「風の万里〜」にて祥瓊をおぶって逃げる桓魋にドキドキしたのでございます〜 （←かなり邪／笑）。
　お祭を盛り上げてくださってありがとうございました。どうぞまたいらしてくださいね。

　またもニアミスのお二人、そして空さん、メッセージをありがとうございました！　 あと一日ですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

伝言　ひめさま

　けろこさん、このニアミスの後、ちょっとウロウロして舞い戻ってまいりまして　 ��90　の存在を知ったのですが、もう眠くって（笑）、と言うような経緯があったようです。