クマ将軍の受難
けろこさま
2008/09/12(Fri) 23:04 No.24
やがて、じっと覗きこむ
桓魋の前で、誇り高き女史はゆっくりと涙を流す。桓魋は微笑を浮かべ、そっと祥瓊を抱き寄せた。祥瓊は、黙してその胸に身を預けた。
――「雨の庭院」より
「桓タイ! 祥瓊に何をした!!」
「しゅ、主上!?」
突然現れた己の主の剣幕に驚き、桓タイはあわてて祥瓊から離れた。
「祥瓊、大丈夫か? ああ、こんなに涙を流して…」
驚いて固まったままの祥瓊に気遣わしげに見やりながら、陽子は彼女の頬を流れる涙を優しく拭った。
「桓タイ! よくも祥瓊を泣かしたな! ゆるさん!」
「ちょ、ちょっと待って…」
「決闘だ!!」
「はあーっ!?」
「私の大切な友を泣かしたんだ! 否とは言わせないぞ!」
「主上、ちょっと待ってください! 祥瓊、お前もなんとか……」
息巻く主を目の前に話の展開についていけず、ただ混乱するばかりの桓タイは、助けを求めて祥瓊を見やった、が、
「陽子が私のために決闘………vvv」
そこには、悲しみとは別の感情に瞳を潤ませ、夢見心地にたたずむ少女がいた。
助けを得られないと悟った桓タイがふと辺りを見ると、騒ぎを聞きつけたのかひとりふたりと人が集まってきた。
――これで助かるかも……
安堵しかけた桓タイの耳に、野次馬からの声が届いた。
「桓タイが祥瓊を泣かしたって?」
「陽子が怒るのも無理はないわねぇ」
「桓タイが泣かしたにしろ、そうでないにしろ、主上のお怒りを収めてもらわなくてはの」
「ああもお怒りになられては、決闘を受けるしかないですね」
「桓タイ、主上にお怪我をさせたら後でどうなるかわかってますね?」
――ちょ、ちょっと待てーっ!!
「どうした、桓タイ! 早く得物とかまえろ!」
闘志も顕わに水禺刀を手にした陽子を前に、桓タイは孤立無援、絶体絶命の窮地に追い込まれていった。
――主上、かんべんしてください〜〜っ! 酷いぞ、みんな! 誰か、誰か助けてくれ〜〜っ!!
桓タイの心の叫びは誰にも届くことはなかったのであった。
おしまい♪
ぶはっ! 未生(管理人)
2008/09/13(Sat) 06:36 No.26
けろこさん、いらっしゃいませ〜。
いやはや、頼みの綱の祥瓊までもがあの調子では、クマ将軍、ほんとにお気の毒……(苦笑)。
楽しい連鎖妄想をありがとうございました!
こちらを先に読ませていただいていたら、「雨上がり」は書かなかったかもしれません(爆)。
今回、ほんと、頭が秋になったままで、シリアスしか書けない状態だったので。
よし、私も頑張ろうっと。またどうぞいらしてくださいね!
まだまだ皆さまの作品をお待ち申し上げております。