酒席の譫言@管理人作品第8弾
2010/09/28(Tue) 22:22 No.86
なんだか御題が進みません。なので、ちょっと寄り道を。
捏造注意!
苦手な方はご覧にならないでくださいね!
- 登場人物 利広・風漢
- 作品傾向 ほのぼの、かなぁ
- 文字数 668文字
酒席の譫言
2010/09/28(Tue) 22:26 No.87
「──妖魔はどこから現れるのだと思う?」
「さてな」
卓子に肘をついた利広は訊ねた。問われた風漢は気のない応えを返す。利広はそんなことは気にも留めず話を先に続けた。
「昔、黄朱の民に聞いたことがある。黄海で狩をする朱氏でさえ妖魔の里木は見たことがないのだと」
黄海に通じる四門は安闔日にしか開かない。それなのに、妖魔は荒廃した国に確実にやってくる。金剛山に抜け道がるのだとか、黄海から各地の凌雲山に隧道があるのだとか、かつて溢れた妖魔が王の安寧によって地下で眠ったが荒廃を嗅ぎつけるや否や目覚めるのだとか、言われ方は様々だ。
「全部違うかもしれないし、全部合っているのかもしれない」
誰も知らないことだけどね、と利広は笑う。風漢はふんと鼻を鳴らして酒を呷った。
「──そんなもの、誰も見たことがないというのなら、誰にも見られないところにあるのだろう。見つかれば、たちどころに殺されてしまうだろうからな」
「誰にも見つからないところって、例えば?」
利広は身を乗り出して問うた。風漢は興が乗ったらしく、にやりと笑んで語り出す。
「地下にあるといのはどうだ? 野木の根にでも生るのならば、決して見つからんだろう。野木を掘り返す罰当たりな奴はいないだろうからな」
「──へえ」
「平和な世であればその実は熟すことはないが、荒廃が世に満ちれば孵化して悪さをするのだろう。きっと王が郊祀をするのはそのためなのかもな」
そう続けて、風漢は大笑いする。利広は呆れて嘆息した。
「風漢は相変わらず面白いことを言う」
「お前には負けるがな」
風漢は手酌で酒を飲みながら人の悪い貌をする。お互いさまだね、と返し、利広は肩を竦めた。
2010.09.28.
後書き
2010/09/28(Tue) 22:37 No.88
女怪が捨身木の根に生ることから思いついた譫言でございます。
読み流していただけると嬉しく思います……。
2010.09.28. 速世未生 記
Re: 悪足掻き、かも 黎絃さま
2010/10/02(Sat) 11:39 No.97
こんにちは、2010年桜祭りに参加しそびれた黎絃です。
未生さまのサイト五周年おめでとうございます!
物凄くありえそう(=もしかしたら未来の原作でよめるかもしれない気さえする)なお話で、
わくわくしてしまいました。
妖魔はどこから現れるのか?
「全部違うかもしれないし、全部合っているのかもしれない」ですからね(≧▽≦)
たしかに荒れた国で出没する妖魔が黄海からわたってきたものとは限らないのに、
黎絃は今までそう思い込んでました。
それぞれの国で大人しくして(眠って?)いた妖魔が、荒れた国では悪さをし始めるとすると、
黄海は王がいないから常に妖魔が跋扈しているということで見事に整合しますね!
桜祭りでは感想も書けずじまいでしたが、投稿までは欲張らずとも
今回はリアルタイムで拝読いたします! よろしくお願いいたします。
ご感想御礼 未生(管理人)
2010/10/02(Sat) 19:01 No.99
黎絃さん、いらっしゃいませ〜。お久しぶりでございます。
5周年のお祝いのお言葉とご感想をありがとうございました!
今回御題を書くために改めて原作を読み返し、色々妄想いたしました。
そして、皆さまからいただいたご感想にて更に膨らんだ譫言をお楽しみいただけて
嬉しく思います!
こうしてご感想をいただくことが妄想昇華の原動力ともなります。
お声を上げてくださってありがとうございました。どうぞまたいらしてくださいね〜。
未生様的設定を・・・ griffonさま
2010/10/02(Sat) 20:27 No.101
ご教授いただければと思っていたりします。
いや勿論、お題進行の妨げにならない範囲で、です(^_^;)
例えば・・・
野木の下には、妖魔の卵果が・・・
となると、里木の下は何が居そうだとお考えですか? はたまた、路木の下となると?
捨身木の地上部分になる麒麟を守るものが女怪
では、妖魔はもしかして・・・常世の野生(?)生物を守っている存在なのでしょうか?
妖魔が斃れゆく国だけを襲う理由はソレなんでしょうか?
ここんとこ、脳内をグルグルしてて・・・
とっても楽しいです(笑)
こう言うことばっかり妄想してるから、ヘンなお話しか書けなくなるんでしょうねぇ、僕は
おお! 未生(管理人)
2010/10/03(Sun) 07:09 No.102
譫言は頭の中でぼやんと思っていたことでございます。
突き詰めて考えたり書き出したりはしておりません。
改めてあれこれ妄想しておりましたら、ひとつ場面が降りてまいりました。
griffonさん、ありがとうございます〜!
「ご教授」というにはおこがましいのですが、
今回色々考えたことは後で別スレで上げますね。
すごく面白いことになっていますね!! 空さま
2010/10/03(Sun) 19:57 No.103
未生さまの素敵なお話にいろいろな人が集まってきてすごいなあと思います。
お祭りたけなわ、お祝い申し上げます。
空も妖魔がどこからくるのかには大変興味がありますし、妖魔そのものにも大変興味があります。
特に四枚(だったっけ??)の翅をもち蛇の体をもつ妖魔なんか大好きであります
(サンヨだったかなあ?)。
哺乳類系、鳥類系、幽体類系(陽子さんに憑いているから。決して有袋類ではありません)は
出番が多いのですが、空の大好きな爬虫類系はこのぐらいしか出てこないので。
grffonさまの「野生生物を守る」の御意見には唸ってしまった。
さすがです。そういえば、玉と人は好物みたいですが、
そのほかのものを食べている記述は無いかもしれません。
うほほ〜い、面白いですよね!! だから十二国記はやめられません。
延長だぁ〜 \^0^/ ネムさま
2010/10/03(Sun) 22:13 No.104
白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒は静かに飲むべかりけり
酒の歌人・若山牧水の名歌ですが、秋の夜長に男二人が飲み交わす図もよろしいですねぇ。
でも会話の内容がやっぱりすごい。
妖魔生誕の謎が酒の肴ですか。ゾクゾクしますね。
それに皆さんの反応や意見も面白い。
何やら皆でお酒を手に持ち参加しているような(そう言えば新酒の季節ですね)。
これも未生さんのお祭りの雰囲気のせいでしょうか。
延長してくれて嬉しいです。また次の御題を楽しみにしています。
祭は生き物 未生(管理人)
2010/10/04(Mon) 17:03 No.105
今回は考察大会でもよいかなと思います(笑)。
それならお話を書かない方でも語れますしね〜。
色々な方ののご意見を伺ってみたいです。
griffonさん>
こちらでごめんなさいね。
投稿規定さえ守っていただければ何でもありでございます。
あんまりお気を遣わずに気楽にいらしてくださいな。
私は勝手に御題を書いているだけですし、
皆さまの作品やご反応をいただくのはほんとうに嬉しいのですから。
空さん>
はい、祭を盛り上げてくださってありがとうございます〜。
爬虫類系妖魔、思わず調べてしまいました。
「図南」に出てきた酸與ですね。
もしかすると小野主上は爬虫類系が苦手なのかもしれませんね(笑)。
ネムさん>
よい歌ですね〜(笑)。はい、基本的に酒は賑やかに飲む宴会系が好きです。
なので、皆さまに盛り上げていただけると幸せな気持ちになります〜。
帰山コンビ、牽制し合いながらも時に真面目に、時にふざけつつ呑み交わしているのでは、
との妄想でございます。お楽しみいただけて嬉しいです!