「管理人作品」 「尚陽祭」

乙女の葛藤@管理人作品第4弾

2011/09/07(Wed) 17:46 No.27
 だんだん頭が壊れてまいりました。 推敲すると恥ずかしくて没にしそうなのでこのまま出してしまいます。
 それでは第3弾「青天の霹靂」のオマケをどうぞ。

乙女の葛藤

2011/09/07(Wed) 17:48 No.28
 日が暮れると不安になる。私室でひとりになった陽子は、溜息ばかりついていた。

「──悩ましい溜息だな」

 不意に声をかけられて、陽子は飛び上がる。相変わらず気配を殺すことが巧い伴侶が楽しげに笑っていた。驚く陽子に頓着することなく、伴侶は陽子を抱き寄せる。陽子は漸く力を抜いて伴侶に身体を預けた。
 大きな手が陽子の髪を優しく撫でる。今まで感じていた不安が嘘のよう。このひとの腕の中は、こんなにも居心地がよい。陽子はうっとりと目を閉じた。

「──昼間はあんなに怒っていたくせにな」

 揶揄するような声が落ちてきて、陽子は目を上げた。青天の霹靂のようだった出来事を思い出し、伴侶を睨めつける。
「──執務室ですることじゃない」
 昼に仕事の途中でいきなり唇を奪われた。いま思い返すだけで心臓が爆発しそうになる。誰にも見られなくてほんとうによかった。なのに、伴侶は悪びれる様子なく問いかけてくる。

「では、今ならよいのか?」

 このひとは、どうしてそういうことを、わざわざ訊くのだろう。

 確信犯的な笑みを見ていられなくなり、陽子は目を逸らした。それでも面白げに見つめる視線を痛いほど感じる。どう答えてもやり返されるような気がしてならない。そして、そう思えば思うほど、頬が熱くなっていくのだ。

 どうしたらよいか分からない。

 息苦しさを覚えた頃、伴侶はそっと陽子の頤を持ちあげ、視線を合わせてきた。その眼が存外に優しくて、陽子は虚を衝かれた。

「よいようだな」

 楽しげな一言。何だか悔しくて、答えることができなかった。伴侶は優しく微笑んで、陽子に口づけを落とす。

 昼には抗えた。でも、今は──。

 重ねられた唇は、あっさりと理性を奪っていく。それから身体が宙に浮いた。ゆっくりと臥室に運ばれる。そして陽子は甘い夢を見た。

2011.09.07.

後書き

2011/09/07(Wed) 17:48 No.29
 「青天の霹靂」続編であり、拍手其の三百二十六「波紋の後で」の陽子視点になります。
 いやぁ、頭壊れてまいりましたね〜。 ご感想に妄想を掻き立てられて、むずむずしておりましたので、昇華できてよかったのかも。
 推敲もしないで出してしまってごめんなさい。何かあったらこっそり教えてくださいね!

2011.09.07. 速世未生 記
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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