「管理人作品」 「尚陽祭」

乱雑な牀榻@管理人作品第12弾

2011/09/29(Thu) 06:29 No.107
 皆さま、おはようございます。 いつも祭に拍手をありがとうございます。励みになります〜。
 今朝の最低気温は11.1℃。すっかり慣れました〜。 予想最高気温は21℃でございます。そろそろ急激に秋が走り出す頃かもしれません。

 管理人、8つ目のリクエストを仕上げました。例によって題名に悩んでおります。 久しぶりに題名の索引なんかを開いてしまいました。いやはや、もうじき500になります。 小品ばかり書くなよ、ますます己の首を絞めるじゃないか……(溜息)。
 そんなわけで、やはり捻りのない題名でございます。 中身はラブコメになっていればよいなぁと思っております。
 前置きが果てしなく長い! それではどうぞ。

乱雑な牀榻

2011/09/29(Thu) 06:35 No.108
「こんなに手入れの行き届いた牀榻なのにな」

 牀に腰掛けた尚隆がぽつりと呟いた。何を言いたいのだろう。陽子は首を傾げて不可解なことを言う伴侶を見下ろす。尚隆は可笑しそうに先を続けた。

「──お前が寝ると、随分乱れてしまう」

「私の寝相が悪いって言いたいの?」
 確かにすぐに丸くなってしまうし、寝返りも打つし、陽子の寝相はあまりよいとは言えない。けれど、そんなふうに揶揄されるのは心外だ。尚隆はおもむろに陽子を見上げ、深い溜息をついた。それが、物分かりの悪い子供に呆れているようで、陽子はますます腹を立てた。
「何とか言ったらどう?」
「どちらが表か分からないな」
「──わけ分かんないことばかり言って」
 陽子は思い切り顔を蹙めて悪態をつく。尚隆はにやりと笑って陽子の手を取った。

「──顔と髪が同じ色だ」

 そう言い様に、尚隆は陽子を引き寄せた。あっと叫ぶ間もなく尚隆の胸に倒れこむ。そのまま牀に身体を縫い留められた。抗議しようと開きかけた唇を塞がれる。陽子はわけが分からないままに男の情熱に呑まれてしまった。

 目が覚めると、既に伴侶はいなかった。夜明けの光が射しこんでいる。半身を起こし、溜息をついた。気怠い身体に夜着を纏い、乱れた牀を整える。それでも尚、陽子は尚隆の揶揄の意味に気づくことがなかった。

 いつものことながら、振り回されている。意趣返しをしたい気分。

 陽子は臥牀に胡坐を掻き、腕を組んだ。やがて、いい考えを思いつき、陽子はにっこりと笑んだ。

「なんだ、これは?」

 次の逢瀬の際、牀榻にある限りの衾褥を散らばせてみた。きちんと整えられているからこそ揶揄されるのなら、散らかしておけばいい。単純にそう思っただけなのだが、案の定伴侶は呆れ顔で陽子を見つめる。
「これくらい散らかっていたら、私の寝相が悪いとか、暴れん坊だなんて言われないだろう?」
 陽子は腰に手を当てて、どうだ、とばかりに胸を反らす。伴侶は楽しげに目を細め、笑い含みに不穏な発言をした。

「──ということは、これくらい激しくしてもよい、ということなのだな?」

「──誰もそんなこと言ってないよ」
 腰の引けた応えを返しつつ、陽子ははっとして先日の顛末を思い出した。目を逸らさずにじりじりと後ろに退る。伴侶は肉食獣のような目で陽子を見つめていた。も、もしかして、と思った瞬間に腕を引かれ、呆気なく抱きしめられる。耳許に落とされる声は熱を帯びていた。

「女王さまのお誘いを無下に断ることはできぬな」

 誘ってないから!

 という心の叫びは伴侶には届かない。いつもながら、伴侶の口づけは甘く、陽子を蕩かしていく。そして、散らかった牀榻は、ますます乱雑になっていく。

「──お前が寝ると、乱れてしまうだろう?」

 ああ、やっぱり。

 遠のく意識の中で、陽子は伴侶の含み笑いを聞いたのだった。

2011.09.29.

後書き

2011/09/29(Thu) 06:39 No.109
 「常世語のお題(尚陽編)」より「手入れの行き届いた牀榻」及び 「乱雑に置かれた衾褥」の陽子視点をお送りいたしました。 朝からこんなものを出してごめんなさい〜。 祭も終盤になると頭が壊れてくるんだな、 と生温かく見守っていただけると嬉しく思います。
 Iさま、リクエストありがとうございました〜。

2011.09.29. 速世未生 記

きゃああ〜っ 饒筆さま

2011/09/30(Fri) 22:44 No.110
 PCの前で黄色い声をあげてしまいました(笑)
 きゃああ〜っ! ど、ドキドキでございます。
 どうしてもソッチにもっていきたい殿が素直でステキです(笑)

天然(笑)。  瑠璃さま

2011/09/30(Fri) 23:42 No.111
 いやあ、天然陽子さんは最強でもあり最弱でもありますね!(笑)

 ところで、そちらはやっぱり寒いですね。 そちらの最高気温はこちらの最低気温以下で、最低気温はこちらの冬の最高気温ですわ。 冬にそちらに行ったら、冬眠する自信があります(笑)。

ごめんなさいすみません! 未生(管理人)

2011/10/01(Sat) 06:40 No.112
 今朝の最低気温は9.4℃。とうとうひとケタ突入でございます。 月も変わったことですし、そろそろストーブに火を入れようかしら。 でも……。もう少し悩みます〜。
 いつも祭に拍手をありがとうございます。 そして頭の壊れた作品にご感想をありがとうございました!

饒筆さん>
 ごめんなさいごめんなさい!  普段の祭ではこういうものは出さないようにしております。 けれど、尚陽でお祭となると……!  いやぁ、こういうのを表に出している自分がコワいです〜。
 でも、ドキドキしていただけて嬉しく思います。ありがとうございました!

瑠璃さん>
 すみませんすみません! 天然過ぎますよね〜。確かに最強で最弱かも(苦笑)。 私も書いて頭痛くなりました。
 そちらはやはり暖かいんですね〜。 こちらの秋は寒暖の差が激しいほど綺麗な紅葉が見られるのですよ。 我が街は紅葉よりも黄葉が目立ちますが。是非一度冬を体験しに来てください。 白クマやペンギンが元気でございますよ!

佳境 ネムさま

2011/10/02(Sun) 21:46 No.116
 お祭も後3日、先程「謀事」も読んできましたが、 いよいよボルテージが上がってきましたね(笑) 初々しい陽子相手にノンストップの尚隆。お祭最終日はどうなっているか、楽しみです。
 昔そちらで見た夕方の鮮やかな紅葉黄葉群、また見たいですね。

ありがとうございます! 未生(管理人)

2011/10/03(Mon) 06:24 No.119
 今朝の最低気温は6.9℃。迷わずストーブを点けました。 予想最高気温12℃は少し前の最低気温でございます。 秋が本気で走り出しましたよ! はい、秋本番でございます。初雪が降るまでは秋!

 ひゃ〜、「謀事」までご覧くださってありがとうございます。 あちらとこちらと並行して書いていたら、ほんとに頭がおかしくなってしまいました。
 ボルテージが上がる……。素敵な言葉で言い換えてくださってありがとうございます!  あとひとつ残っているものはほのぼのなので、頭を戻しつつ頑張ります。 昨年の轍を踏まぬように(苦笑)。
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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