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ネムさま、平に、ひらにご容赦を・・・ 饒筆さま

2011/10/02(Sun) 09:02 No.113
 うは〜。ま、間に合いました・・・ビバ☆ お祭り延長!
 ネムさまの情感たっぷりな浜にて、ギャグネタを探してずいぶん彷徨っておりましたが、 有り得ないドザエモンを漂着させる以外のネタを思いつかなかったので、 せっかくのCP祭りだし、私もフツーの恋愛小咄にレッツトライ!してみました。
 ・・・自刃で討ち死にしている感が漂っておりますが・・・。
 ネムさま申し訳ございません。こんな駄作ですが、 連鎖妄想と呼ばせて頂いてよろしいでしょうか?
 No.77&78 ネムさまの素敵作品「星海飛天」の連鎖妄想(続き妄想)です。

淡恋夜浜

饒筆さま

2011/10/02(Sun) 09:05 No.114
 夜の雲海浴は、実に気持ちが良かった。
――また来よう。地上の星を愛でるために。
 爽快な気分のまま、ざぶざぶと波を蹴って浜へあがる。
 こんなに素敵な楽しみを教えてくれたのだから。改めて御礼を言おうと、傍らの延王を振り返って――心臓が跳ね上がった。
 さやかな月光に照らされ、彼の鍛えられた肉体が淡く光っている。
 首から肩へ続く逞しいライン。広い背中に、ぐっと引き締まった腰。上着を拾う腕は太く、しなやかで力強い。
――うわあ・・・見事な逆三角形だ・・・。
 間の抜けた感想と共に、自分の格好を思い出した。
 ハッ!! そう言えば私も、胸に袖を巻いただけだった!! 濡れた下袴も脚に貼り付いているし・・・ま、まさか、どこか緩んでないよね?!
 一気に赤面し、反射的に我が身を抱く。
 カラカラと笑う声が聞こえ、「ほら」上からバサリと大きな上着をかけられた。
「俺はこのままでもいいが、おまえはそういう訳にもいかんだろう。風邪をひく前に早く戻るぞ」
「・・・ありがとうございます」
 確かに有難いです。でも、ええっと・・・ずぶ濡れで半裸に近い私が延王の上着を着て帰ったりしたら、余計に「ナニがあったんですかっ?!」と大騒ぎになりそうだけど。
 しかし、こうなったらもう、仕方が無い。
 潔く諦めて上着を羽織り、大股で歩く彼の後について行く。
 両手で前を引き合わせても、延王の上着は大きくてぶかぶかだ。でも、乾いた布地から温もりが伝わる気がする。そして微かに鼻をくすぐる、彼の匂いに包まれる。
 ちょっぴり、嬉しいような。気恥ずかしいような。
――本当に、大きなひとだな・・・。
 どんなに迷っても、自力で国を率い未来を拓き続けてきたひとだ。何があってもびくともしない、頼もしい背中を見つめる。
 近くに居ても遠いひとを、こんなに身近に感じたのは――初めて、だよね。
 当たり障りの無い距離から眺めているだけじゃ、何も思わなかった。「雁」だの「慶」だの、そんな看板を背負っている間は考えることも無い。でも、こうして、ほんの少し彼の素顔を垣間見て琴線に触れただけで、次々に欲が出てしまう。
 ・・・まだ帰りたくないな。もっと話がしたい。彼のことを知りたい。きっと山ほど・・・凌雲山ほど色んな話を知っているんだろうな。ああ。この胸の高鳴りは・・・もしかして・・・?
 ふと、先を行く延王が振り返った。陽子がドキリとして立ち止まる。
「そうだ、陽子。前から聞きたかったんだが・・・おまえ、六太は『六太クン』と親しげに呼ぶくせに、どうして俺は延王のままなんだ?」
 え? 唐突に、なぜ?
「いえ、それは――すごく偉大な大先輩なのに、馴れ馴れしく名前で呼ぶなんて失礼かと思いまして」
 延王が眉根を寄せた。訝しげに問う。
「陽子・・・俺の事を、本当に偉大だとか大先輩だと思っているか?」
「一応、ちゃんと思っていますよ」
「『一応』なのか、『ちゃんと』なのか、ハッキリしろ」
 何ですか、そのつっかかる言い種。
 お互いを横目で見やり、陽子も尚隆も口を尖らせる。
「じゃあ、『小松さん』でいかがですか」
「それはなんだか余所余所しいな。そんな仲でもあるまい?」
 どんな仲だよ?! 思わず、陽子は胸中で突っ込む。
「ええっと・・・小松おじさま?」
「おじさま、か。喜ぶ男もいるだろうが、俺は気に入らん」
「小松社長」
「おい。俺はいつ転職したんだ?」
「三郎お兄ちゃん」
「急にくだけたな」
「ええ〜っ! もう何が良いんですか! 難しすぎますよ!」
 陽子が抗議すると、延王がずいと顔を寄せた。にやりと笑い、挑むように目を輝かせる。
「尚隆、でいいぞ」
 陽子が青くなった。一歩たじろぐ。
「よ、呼び捨ては無理です! それにその笑い方、なんか作意か悪意を感じますし!!」
「・・・作意か悪意って、何だ?」
 尚隆が肩を落とす。まったく色気も口説き甲斐もない娘である。
 そして生真面目な陽子は結論を急ぐ。
「うう〜ん。では素直に『小松センパイ』で」
「・・・もう何でもいい」
 投げ遣りに背を向けてしまった延王を追い、陽子が慌てて言い繕った。
「で、でも結局、呼称なんて何でもいいじゃないですか! 私にとって、特別なひとだってことは変わらないんですから!」
 するりと言ってしまった後で。慌てて口を塞いだ。
 しまった! まだ確定事項でもないのに、勢いで口が滑っちゃった!!
 丸くなった目を向けられる。陽子は真っ赤になって俯く。
「い、今のは無し・・・忘れてください・・・」
 目が泳ぐ。恥ずかしすぎる。もう一度雲海に飛び込んで、しばらく海底に隠れたい。
 てっきり大笑いされるかと思いきや、延王は再び歩み寄った。肩に腕を廻され、顔が寄る。甘い低声が耳朶のすぐ側で囁く。
「それなら照れずに、俺の名を呼べ」
 かあっと頬が、身体が熱くなる。暴走する鼓動が止まらない。
――も、もう! このひとは・・・!!!
 何なんですかっ、その自信満々な態度っ! まだ惚れた訳じゃないですからね! ちょっと気になっちゃうな〜なんて程度なんだから、つけ上がらないでください!!
 肩の腕を払う。
「だ、誰も照れてなんかいません! やっぱり、延王は『延王』で充分です!」
 フン! 陽子はヘソを曲げてそっぽを向く。
 図星を指されてイタイ、なんてことは絶対に無い!
 だいたい、「尚隆」なんて呼べるワケがない・・・そんな風に彼を呼ぶ自分を想像しただけでドキドキするのに。感情を一切含まない紋切り型か、もしくは茶化して笑える呼称でなければ、面と向かって話せない。だって、彼の名を呼べば呼ぶほど・・・恋の奈落に落ちてしまいそうで・・・。
 朱に染まった耳朶を見遣り、延王は嬉しそうに喉を鳴らして笑った。

<了>

後書き 饒筆さま

 もうひと押しですな、殿。
 しかし、か〜ゆ〜い〜!(ジタバタ) ぬるい割には痒すぎて悶死しそうです。 やっぱりドザエモンをこさえてギャグにすれば良かったかなあ・・・(泣)。 恋の入り口でウロウロする陽子さんと、 隙あらばオトしてやろうと虎視眈々の尚隆を書いてみたつもりなのですが(ううう)。
 ネムさま、こんな続きでスミマセン(瀕死)。

かわいい! ネムさま

2011/10/02(Sun) 15:56 No.115
 陽子の初々しい反応に、尚隆でなくとも頬が緩みっぱなしです (完全にオヤジ化…おじ様と呼ばれたらどうしよう…) もっと話たいと思いながら、呼び捨てに出来ない乙女心がキュウンとしますね。 素敵なお話、ありがとうございました!

追伸:雲海にドザエモンが流れてきたら、やっぱり燕朝の権力争いですよね。 その内ミステリーネタでお願いしますね^^b

ありがとうございます〜 饒筆さま

2011/10/02(Sun) 21:54 No.117
 ネムさま、温かくお許しいただいてありがとうございます。
 か、かわいいですか?  そう言っていただいて嬉しいやら恥ずかしいやら・・・ お子ちゃまにはこの程度が精一杯です(とほほ)
 おお、ドザエモンでミステリー! それはナイス・アイデアですね! (本格派ではなく、お気楽二時間ドラマ系でいかがでしょう?(笑))
 いや・・・実は私が考えていたのはもっとバカバカしいオチでした。 もはや言えない(笑)

カワイイ〜! 未生(管理人)

2011/10/03(Mon) 06:10 No.118
 饒筆さん、これは立派な連鎖妄想だと思いますよ!
 陽子さんが可愛くて読みながら悶絶してしまいました。 ちょっと意地悪をしたくなる尚隆の気持がよく解る私は やっぱりオッサンなのかもしれませんね〜。
 ご投稿ありがとうございました。どうぞまたいらしてくださいね。

 ネムさん、先レスありがとうございました〜。

ツッコんであげてください 饒筆さま

2011/10/04(Tue) 00:50 No.127
 未生さま、嬉しいお言葉ありがとうございます〜。
 オッサンだなんて、そんなそんな。 ツッコミどころ満載な陽子さんなので、ちょっとからかって遊んであげてください。
 お祭りもあと二日、最後まで楽しみです〜!!

乙女ですね(笑) 瑠璃さま

2011/10/05(Wed) 20:06 No.134
 いやあ、本当に可愛らしい陽子さん。 これではツツいてちょこっと苛めたくなりますね(笑)!
 ところで、わたしもドザエモンが気になります。 しかもドザエモンでギャグって一体!?

ドザエモンはまたいつか 饒筆さま

2011/10/06(Thu) 00:02 No.142
 瑠璃さま、かゆい乙女を愛でていただいてありがとうございます。
 ど、ドザエモンは真剣に死んだひとではなく、 「ドザエモン状態で漂着した何某(←さあ誰でしょう?)」なのでご安心を(笑)
 いやもうバカバカしいにも程があるので、そのうち・・・ほとぼりが冷めた頃に、 拙宅でネタにするかもしれません。ははは(汗)
背景画像「幻想素材館 Dream Fantasy」さま
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