驚愕の勅命＠管理人作品第１弾

　祝！　７周年！
　皆さま、いつもご来場くださってありがとうございます。 拙宅は本日無事に７周年を迎えることができました。 これもご訪問くださる皆さまのお蔭でございます。
　今年は昨年惜しくも尚陽祭に敗れた滄海祭を開催いたします。 これから１ヶ月間、皆さまとともに楽しく祭をやっていけたらと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。

　さて、周年祭は常々マニアックでございます。 第１弾に何を出すか迷いましたが、やはりマニアックにまいりたいと存じます(笑)。 では、いつも尚隆の出奔の片棒を担がされて気の毒な小臣毛旋のお話をどうぞ。

• 登場人物　　毛旋・尚隆
• 作品傾向　　コメディ
• 文字数　　623文字

驚愕の勅命

　国主延王が足取り軽くやってくる。小臣毛旋は眉根に力を入れ、ぐっと身構えた。今日こそは無軌道な国主を止めてみせる。しかし、そんな毛旋に構うことなく、国主はのんきに言ってのけた。
「毛旋、乗騎を用意せよ」
「嫌です。先日も大僕にこっぴどく怒られたばかりなんですよ。おれの立場も考えてください」
　毛旋は能う限りの気迫を籠めて言い切り、国主の前に立ち塞がる。今回国主を逃がしたら、大僕成笙にどんな目に遭わされることか。すると、国主延王は僅かに目を見張り、それからにやりと不穏な笑みを見せた。

「では、毛旋の立場を考えてやろう」

　国主は手近な紙にさらさらと何かを書きつけ、懐から御璽を出して押印した。毛旋は目を丸くする。側近中の側近である帷湍ならば、その場で怒鳴り出したであろう。しかし、たかが小臣の毛旋に、そこまでする度胸などない。
「これを成笙に渡せ」
　毛旋は国主が差し出した書簡を受け取って慄いた。驚愕のあまり素っ頓狂な叫び声が漏れ出る。

「え！　お、おれが大司馬ですか！　ご冗談を」

「お前が上官になれば成笙も文句は言わぬ。あれで成笙は規律を重んじる男だからな」
　狼狽える毛旋を、国主は楽しげに見やる。毛旋は堪らず悲鳴を上げた。
「主上！」
「成笙に伝言を頼む。首を取られないように気をつけろ、禁軍将軍は悪くない、とな」
　聞いて毛旋はぽかんと口を開けた。国主は人の悪い笑みを浮かべて踵を返し、乗騎の手綱を取る。そして、毛旋が我に返った時には、とっくに蒼穹の彼方に消え去っていた。

2012.09.01.

後書き

　原作「東の海神〜」を読むと、頑張れ、毛旋！　 と応援してしまいたくなるのでございます(笑)。お粗末でございました。
　皆さまのご投稿を心よりお待ち申し上げております。

2012.09.01.　速世未生　記

７周年　おめでとうございます！　ネムさま

　いつもお世話になっております。 今年もサイト創立のお祝いを迎えられたこと、お慶び申し上げます。

　今年はあの！　雁が舞台ですね（更夜が出るなら黄海も？）。 こちらのお祭りは、いつも思わぬ視点で物事を捉えられるので、 寄る度に十二国の世界が拡がり楽しみです。

　今年のトップバッターは毛旋ですか。 成笙の配下の武官は皆優秀と書いてあったような気がしますので、 大司馬になったら、それなりに出来るかもなんて考えたりしましたが、 この王様と三官吏相手ではストレス溜まりそうですね（笑）
　背景の蒼海と相まった明るいお話、面白かったです。

愛すべき、いじられキャラですね　饒筆さま

　次記事にも書きましたが、本当におめでとうございます〜。

　毛旋は本当に愛すべきキャラですね（笑）　 大司馬を拝命してオロオロしている割には、 生真面目に閣議に入ろうとしたり……天然だなあ（くすくす）　 現代蓬莱の俳優、伊東淳史さん（元・チビノリダーや電車男）のイメージが ふつふつと沸いてきます（あはは）
　マニアック大歓迎です！　未生さま「滄海」の続きも楽しみにしておりますね♪

ありがとうございます！　未生（管理人）

　皆さま、ひっそりこっそりマニアックな祭にご来場ありがとうございます。 拍手や気持玉もありがとうございました〜。 そして、早速のコメント、嬉しく拝見いたしました。

ネムさん＞
　こちらこそいつもご来場及びお声かけをありがとうございます。 ネムさんにいただく美しいお言葉の数々は心の栄養となっております。
　今回も拙作へのご感想をありがとうございました。 「毛旋？　ソレダレ？」と思われても仕方ないマイナーな御仁のお話を お楽しみいただけて嬉しく思います〜。 そうそう、あの王さまの部下であの連中の上司、胃をやられるかもしれませんね(苦笑)。
　はい、周年祭はいつも思いがけないものが飛び出して、 私も楽しませていただいておりますよ！　 ネムさんの作品もお待ち申し上げておりますね〜。

饒筆さん＞
　今回もご来場及びお声を上げてくださり感謝申し上げます！　が……。
　ひゃあ！　最後の一言、動揺しまくりました！　 はい、止まって久しい連載をご期待いただけて嬉しく思います。 続きは……祭中に１話くらい出せればいいなと……(弱気)。 気長にお待ちくださいませ。