景王の素朴な疑問其の一@管理人作品第3弾
2012/09/06(Thu) 06:09 No.27
皆さま、おはようございます。昨日の最高気温は28.8℃。
漸く真夏日から解放されました〜。本日の予想最高気温は27℃。
だがしかし、雨予報。9月に雨降って27℃は北の国では有り得ません(苦笑)。
そろそろちゃんと秋になりましょうよ〜。
そんなわけで、昨日は避暑しに美術館に行ってまりました。
今週末で終わってしまう「東山魁夷展」でございます。
絵心もないし、話の種にと気軽に行って、まんまとハマりました。
どのくらいハマったかというと、初めて図録を購入したくらい(苦笑)。
素敵な絵が多すぎて、手元に置きたくなったのでございます。
瀬戸内を描いたという「暮潮」、北の国の住人の心を鷲掴みにした「冬華」、
そして幽玄な桜と月を描いた「花明り」。
ネムさんの「虚空桜」を思い出してしまいました。桜怪が出てきそう……。
五感が刺激されまくって大変なことになりました。あ、ここで時間切れ。
後程小品をアップしに戻ってまいります〜。
遅くなりました。さて、第3弾まいります。
- 登場人物 陽子・尚隆
- 作品傾向 シリアス
- 文字数 582文字
景王の素朴な疑問其の一
2012/09/06(Thu) 12:17 No.28
淡々とした延王尚隆の語りが不意に途切れる。景王陽子はそっとその横顔を見つめた。訊きたいことがある。けれど、訊ねてよいものか。どうにも躊躇いが消えなかった。
「どうした?」
尚隆が視線を合わせてくる。尚隆は微かに唇を緩め、穏やかな目を向けた。そんな伴侶に安堵した陽子は、心に浮かんだ疑問を口に出してみた。
「──どうして光州候を更迭したの?」
尚隆は事前に六官三公を罷免していた。それが元州に力を貸している他州を搦めとるための策だということは理解できる。権を与えて取りこめば、元州の抑止に繋がるだろう。
元州に協力していたのは光州。尚隆は、光州令尹を太師に、州六官をそのまま内朝六官に据えることにしたという。なのに、光州候だけが更迭とは。景王陽子にとってはどうにも納得いかないことである。が、尚隆はにやりと人の悪い笑みを見せた。
「そんなに不思議なことか?」
「だって、待遇が違いすぎるよ。光州候が納得するとは思えない」
景王陽子は即座にそう断じた。延王尚隆はくつくつと笑う。それから、陽子を見据えて答えた。
「別に光州候を納得させる必要などない。俺が王だからな」
聞いて陽子は息を呑む。穏やかな口調ながら獰猛さを窺がわせる声。獲物を定めて殺気を隠す肉食獣のような眼。
このひとは紛れもなく玉座に坐るべき人物だ。
陽子はそう思い、苦笑を零す。そうして稀代の名君が語る種明かしを待つのだった。
2012.09.06.
後書き
2012/09/06(Thu) 12:25 No.29
昔出した拍手其の三百二十一「幕間の問いかけ」を改稿して持ってまいりました。
拙作長編「滄海」余話でございます。
いやはや、これが新婚旅行のお話だとは……!
我ながら可笑しく思います(乾笑)。
「景王の素朴な疑問」は幾つか出す予定でございます。
陽子主上、やっぱり生真面目かも。
2012.09.06. 速世未生 記
美術系はとと疎いのですが・・・ griffonさま
2012/09/06(Thu) 23:41 No.30
東山魁夷・・・どっかで聞いたことがあるような無いようなと、
脳内を検索してたら、実家からちょっと足をのばしたとこに
東山魁夷せとうち美術館
と言うのがあったと言うコトを思い出しました。
うわ、いいなぁ! 未生(管理人)
2012/09/07(Fri) 06:08 No.31
今回「せとうち美術館」所蔵品はないのですよ。
そちらにも瀬戸内の海を描いた作品がございますね。
お近くならぜひ見に行ってみてください。いいな〜近くなら私も行きたいです〜。
情報ありがとうございました!
教えて☆ダーリン! 饒筆さま
2012/09/08(Sat) 16:54 No.33
確かに新婚旅行中の話題としてはおカタイようですが、真面目な陽子さんなら
「この機会に、王様業の極意を根掘り葉掘り聞いちゃおう!」と意気込んでいても
おかしくないような。
陽子さん、目的が間違っていますよ〜(笑)
でも、ちゃんと答えてあげるダーリンは優しいですね。
私の中のダメな尚隆くんなら「まあそのへんは臥牀で」とか言って
はぐらかしそうです(ダメ旦那じゃん)
ちなみに、東山魁夷氏って優しくて抒情的な絵をお描きになりますよね。
私も、森の中の白馬の絵(いっぱいありますが)が好きです〜
お恥ずかしい ネムさま
2012/09/08(Sat) 20:40 No.35
東山画伯の絵から拙作を思い出して下さるとは、
光栄を通り過ごしてお恥ずかしいです。
また唐招提寺・御影堂の襖絵を見に行きたいのですが、
公開期間が短いので時間調整が出来ません(6月に2日位)。
でもお勧めです。善行寺隣の信濃美術館別館の方がまだ行きやすいかも。
そう言えば、光州侯はどこへ行ってしまったんでしょう…
「東の海神」も読み返すと“あの人はどこへ”という疑問が出てきます。
元州侯も出してもらえたのだろうか。
今度は後宮にあった朱衡の執務室について、
陽子に聞いてもらいたいです(意地悪 ^m^)
再度観覧 未生(管理人)
2012/09/09(Sun) 07:29 No.36
快晴の金曜日に再び美術館に行ってまいりまいた。
ほぼ朝一に飛び込み、気に入った数点を椅子に座ってじっくり観覧いたしました。
無論人はそれなり多いので、雲間から現れる月を眺めるような感じで(笑)。
でも、ほんと命の洗濯でございますね〜。
画伯の素晴らしい絵とは全く関係のない小品にご感想をありがとうございました!
饒筆さん>
題名に吹きました(笑)。さすが饒筆さん!
そうですね、陽子主上なら、この際根掘り葉掘り聞いちゃえ! と思うかも、
ですよね〜。訊く陽子もツボ! ならば、答える尚隆も私的ツボでございます(笑)。
画伯の絵、森の中の白馬の絵もございましたよ〜。
ネムさん>
恥ずかしがらないでくださいませ!
あの絵は桜の上の方と月しか描いてなくて、私の妄想では根元に美しい桜怪が……。
うわぁ、唐招提寺の襖絵、公開は2日間ですか! 見るのに根性が要りそうですね。
今回は東京近代美術館と信濃美術館の所蔵品が多かったので、
いつか行ってみたいです〜。情報ありがとうございました!
そいて、「あの人はいま」! ぷぷっ。
因みに光州侯はのちに冢宰になっておりますよ〜。元州侯は謎ですが。
後宮にあった朱衡の執務室……妄想もやもやしてまいりました(笑)。