景王の素朴な疑問其の二＠管理人作品第４弾

　皆さま、おはようございます。週末から断続的に大雨が降りました。 雨が止んだと思ったら、しばらく下がっていた気温がまた上がってまいりました。 本日の予想最高気温は２８℃。９月半ばにそれはないでしょう……。
　それでは第４弾まいります。

• 登場人物　　陽子・尚隆
• 作品傾向　　ほのぼの・コメディ？
• 文字数　　706文字

景王の素朴な疑問其の二

「物問いたげだな」
　不意に尚隆はそう言って語り止めた。陽子の顔をじっと見つめ、人の悪い笑みを浮かべる。そんなに顔に出ているだろうか。陽子は赤くなる頬を両手で押さえた。尚隆は喉の奥で笑い、ほら言ってみろ、と促す。陽子は少し狼狽えながらも好奇心に負けて訊ねてみた。
「――光州の州六官を内朝六官に据えたんだよね？」
「そうだが」
　陽子の問いに尚隆は首肯する。その貌があまりにも楽しそうで、陽子は少し緊張した。肩を竦める陽子を、尚隆が再度促す。陽子は頬を染めたまま、小さな声で問いを重ねた。

「じゃあ、どうして毛旋が大司馬になれるの？」

「――お前は存外細かいことを気にするのだな」
　尚隆は陽子の肩を叩き、大笑いした。だって、と陽子は唇を尖らせる。尚隆は光州の州司馬を大司馬に任命したはずなのだ。官位が被るなど、あってはならないことだろう。しかし尚隆は、そんなもの、と言ってまた笑った。
「州六官が光州から関弓に到着するまで、かなりの時間がかかるだろうが」
「でも」
　やっぱり可怪しい。そう言おうとした陽子の唇を、武骨な指が塞いだ。尚隆は唇を歪めて続ける。
「毛旋への勅命には、この乱が終わるまで、と但し書きをつけた。問題なかろう？」
「州六官が着くまでに乱が終わらなかったら？」
　どうして断じることができるのだろう。聞けば聞くほど可怪しいところだらけだというのに。陽子は即座に問い返した。しかし、尚隆は全く動じない。それどころか、軽くこう言ってのけた。

「そのときは待たせておけばよいではないか」

　聞いて陽子は心底脱力した。そうして深い深い溜息をつく。
「……あなたはそういうひとだよね」
　尚隆はくつくつと笑い、陽子の肩を楽しげに抱き寄せるのだった。

2012.09.12.

後書き

　拍手其の三百五十七「景王の素朴な疑問」を改稿して持ってまいりました。 これって私の疑問でもあったのですが、軽く答えられてしまって、 陽子主上の脱力感がよく解ります(苦笑)。
　お粗末でございました〜。

2012.09.12.　速世未生　記

う〜ん　ネムさま

　しみじみ「綱渡り」だったと思います。 でも尚隆なら、やる！　と思えるお人柄ですよね。 それとも陽子に尋ねられて、今更内心汗をかいているかも… それを表面に出さないのが「王」のコツですか（笑） 　陽子はしっかりお勉強してね^^b
　こちらは草木が茶色っぽくなってます。 雲海の底にぽちっと穴を開けたくなりますね（笑）そちらもどうぞ、お大事に。

ご感想御礼　未生（管理人）

　昨日は真夏日だった北の国からおはようございます。 本日も予想最高気温は２９℃でございます。 そろそろご勘弁願いたいです。 本来ならば、地元の山に初雪が降る頃なのですが……！

ネムさん＞
　そうですね、命綱である六太を押さえられた尚隆にとって、 ほんとうに生きるか死ぬかの戦いだったのですよね〜。 考え得ることは全て試す的な感じだったのかもしれませんね。
　実は陽子の問いにタジタジしていたくせに態度には出さないのかもしれませんけど(笑)。 またも妄想を促すご感想をありがとうございました〜。
　ところで、そちらは雨が足りないのですね。 こちらは昨日も晴れているのに大雨が降りました。 かなり局地的だったようです。 近隣の街では冠水したところもあった模様でございます。 幸い我が家の近所は大丈夫ですが。 いやぁ、上手くいかないものですよね……。労いのお言葉をありがとうございました。

あっ！　饒筆さま

　あっ、殿、抱き寄せちゃった！　ひょっとして口封じ？（笑）
　生真面目な陽子さんが可愛いですねえ〜♪　 尚隆氏の戦術はだいたい「とりあえず派手なパフォーマンスや大胆行動で 肝心要を押さえておいて→細かいことは後で決めりゃいい」的な感じがするので、 やっぱり武将なんだなあと感じますね。 喧嘩上等！　なモノの考え方だと思います。
　優等生な陽子さんはおそらく最初からきちんと詰めておこうとするのだろうけれど、 しかし現場で血が騒いで大波乱を起こしちゃったりするのではないかと（くすくす）。
　それにしても９月で初雪ですか〜さすがです、北の大地。 当地ではまだ朝からミンミンゼミが鳴いています（聞くだけで暑い……）

わはは　未生（管理人）

　昨日の最高気温は２９．４℃でございました。 本日は予想最高気温、なんと３１℃！　ココハドコナンデショウネ？

饒筆さん＞
　あは、そこにご反応とは(笑)。あは、新婚旅行でございますから〜(照)。 後のことはご想像にお任せいたします！
　そして延王景王両氏のご考察、うんうんと納得してしまいました。 武将尚隆と優等生陽子、正にそんな感じでございますね！
　そちらはまだミンミンゼミが……！　 そういえば今年は暑い割にセミの鳴き声を聞いていない気がいたします。 変な時期に暑くなっているせいでございましょうかね〜。
　例年では９月の半ばには地元の山は初雪が降りますが、 今年はまだの模様でございます。紅葉は見頃のようなのですが。