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「桜に託す小さな願い」@管理人作品第2弾

2007/03/21 05:52 No.15
※ 管理人作品は全て尚陽前提でございます。

桜に託す小さな願い

2007/03/21(Wed) 05:57 No.16
 見上げると、空が淡く霞んでいた。そういえば、手を切るように冷たかった炊事に使う水も、温み始めている。春が近い。そう思い、鈴は庭院に目を向けた。
 どの窓からも目に入る場所に植えられた、幾本もの小さな苗木。それは、この金波宮の主がこよなく愛する花木である。海客の鈴にとっても、懐かしい花である桜の木。
 まだまだ小さいその木を眺め、鈴はにっこりと笑みを浮かべる。いつも案件に顔を蹙めている女王も、ふと目を留めて微笑する、その苗木。
 隣国の王が、伴侶のために持ってきたその木は、忙しい女王を慰める。そして、鮮やかな笑みを見せる女王に、鈴たちも笑みを誘われる。
 陽子のお花見について行くことはできないけれど。いつかここで、みんなで、のんびりと、ゆっくりとお花見をしよう。
 慶がそんなふうに平和が似合う国でありますように。今日も鈴は小さな桜に想いを託す。

2007.03.09.

後書き

2007/03/21(Wed) 06:39 No.17
 「黄昏」を書き綴りながら、早く慶が平和になればいいな、と思っておりました。 そんなときに、働いていた鈴が、少し手を休めて語ってくれました。 「故郷」の前辺りの頃だと思います。
 なんだか、ほのぼのと胸が温まりました。 皆さまにも楽しんでいただけると嬉しいです。

2007.03.21. 速世未生 記
背景画像「さららのアトリエ」さま
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