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花の宴の王と冢宰@管理人作品第12弾

2009/04/30(Thu) 17:21 No.270
 しばらくPCに触りたくないと本気で思ってしまった管理人でございます。 そんなこと、初めてかもしれません。
 今日、気を取り直して書きたいものを書いてみました。 ずばり、「あのとき、冢宰は何をしていたのか」。 敢えて書かなかったのですが……(苦笑)。

※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。

花の宴の王と冢宰

2009/04/30(Thu) 17:24 No.271
 花の宴は和やかに続いていた。そんな中で、主は小さな溜息をつく。少し沈んだその様も、開きかけた俯き気味の桜花のようだ。浩瀚は微笑して主に話しかけた。
「どうかなさいましたか?」
「──いや、別に何でもないぞ」
 そう答えつつも、主は拗ねた様子を見せていた。ああ、と浩瀚はひとり納得する。先ほど、主は真面目に言ったことを皆に笑い飛ばされて、かなりつむじを曲げていたのだ。
 台輔のとりなしで機嫌を直してはいたが、主にはまだ蟠りがあるのかもしれない。そう思い、浩瀚は笑みを浮かべたまま主を見つめ返す。気まずげに目を逸らした主は、やがて小さく肩を竦め、諦めたように口を開いた。
「──浩瀚」
「はい」
「お前も笑ったんだろう?」
 主はむっつりとそう訊ねる。浩瀚は真顔で訊き返した。
「何を、でございますか?」

「──蓬莱では、私はほんとうに女らしく淑やかだったんだぞ。信じられないだろうが」

 主は膨れ顔で横を向く。話しているうちに怒りが蘇ってしまったらしい。浩瀚はそんな主に即答した。
「私は信じますよ」
 主は目を見張って浩瀚を凝視した。浩瀚は笑みを浮かべ、同じ言葉を繰り返す。
「私は信じます」
 主は驚いたように口を開ける。浩瀚はその貌に更に笑みを誘われ、大きく頷いてみせた。主の頬が見る間に朱に染まる。大きく見開かれていた翠の瞳が恥ずかしげに伏せられた。それはまるで、桜の精のように可憐で美しい。感嘆した浩瀚は、いつもの如く思ったままを主に伝えた。

「主上、そういうお姿は、大変女らしく淑やかですよ」
「──お前はやっぱり口が巧い」

 主は悪態をつきながら顔を逸らし、桜の蕾を見上げる。緋色の髪がさらりと流れ、華奢な背を彩った。
 本物の桜が咲くのはもう少し先になるだろう。が、一足先に花見ができたな、と浩瀚は思いがけない眼福を大いに楽しんだのだった。

2009.04.30.

後書き

2009/04/30(Thu) 17:31 No.272
 「花の宴の王と台輔」で、遠甫にまで笑われて憤慨していた陽子主上。 鈴視点では冢宰閣下の動向は不明でございました。 きっと笑ってないよな〜と思いつつ書き流した小品でございます。
 浩瀚本人にこんなに羞じらったのは初めてじゃないでしょうかね〜、拙宅の陽子主上は。 よかったね、と冢宰閣下に申し上げておきましょう(笑)。
 そろそろ小品じゃないものを上げたいのですが……桜、まだ咲きません〜。 明日、咲いている所に遠征してみようかしら。

2009.04.30. 速世未生 記

Re: 4月最後の日 griffonさま

2009/04/30(Thu) 23:03 No.274
 未生様が尚陽者であると判っていながら・・・浩陽にコロんでいただけるのかと、思わず(^_^;) 
 浩瀚の「まじめで主上ひとすじ」と言うのが、なんだか新鮮(笑)で・・・ なんかこう僕の場合CPだと、浩陽になっちゃうケースが多いのですが、 たいがい浩瀚は頭脳明晰でチョイワルなオヤジが、純真乙女で漢前の陽子にコロリ・・・ と言うパターンになってるような気がしてますが、こう言うマジメっぽいのもアリかと思いました。
 ところで、今日はそちらは夏日だったそうで(^_^;)
 どうなってるんでしょうねぇ、ついこないだ桜の花に雪がと言う話をしてたような気がしますが、 今度は暑すぎて桜が咲かないなんてことが・・・(^_^;)起こらないことを祈ってます。 お祭り期間が長くなるのはありがたいんですけどねぇ

これだけなら 未生(管理人)

2009/05/01(Fri) 06:41 No.277
 確かに浩陽に見えるかもしれませんねえ〜。 まあ、拙宅の浩瀚は陽子主上にぞっこんでございます(笑)。 外では色々やっていながら陽子主上の前ではこうなってしまう、というのが 私の萌えツボでございます。
 昨日、北の国の東部では夏日になったそうでございます。 ──つい最近雪が50cm積もったところもあったはずなのですが。 我が街も昨日は22.7℃まで上がりました。
 もしかすると、桜が一気に咲き始め、一気に散ってしまうかもしれません〜。 まあ、今日の予想最高気温は17℃なので、それはないと信じたいです!
 griffonさん、ご感想をありがとうございました!

まったく閣下は…… けろこさま

2009/05/01(Fri) 23:04 No.284
 本当に閣下は主上を喜ばすのが巧みですワ^^
 かの方同様、バリバリに乙女フィルターかかってらっしゃるから本気の科白なんでしょうけど、 陽子さんからしたら嬉し恥ずかしですよね、こんなにあっさり肯定されたら。
 「景麒には論点ずらされて、浩瀚には丸めこまれただけのような気がするぞ」 という陽子さんのつぶやきが聞こえてきそうです〜(笑)
 ――しかし、こちらの陽子さんの無防備さはどうしょうもないですねぇ……

うふふ 未生(管理人)

2009/05/02(Sat) 06:16 No.287
 はい、拙宅の浩瀚は陽子主上を喜ばすのが一番上手い方でしょう。 浩瀚の言葉に羞じらう陽子、というのは、けろこさんのリクだったような気がいたします(笑)。 こんなに無防備なのに誰も手が出せない、というのも私の萌えツボでございます♪
 ご感想ありがとうございました!
背景画像「工房 雪月華」さま
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