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自己連鎖 griffonさま

2009/04/25(Sat) 00:34 No.243

 去年は連鎖モードで大騒ぎしましたが、今年は割合とのんびりとした動きですよね。 まぁ、未生様んちあたりの桜が咲き始めると、クライマックスですから・・・ その頃は追い込みですかねぇ(笑)また大騒ぎになるんでしょうか・・・
 で、拙作+けろこ様の染井吉野の写真からの自己連鎖ってことで


Mariage Rose

作 ・ griffonさま

2009/04/25(Sat) 00:42 No.244

「それでっ。それで、それからどうなったのよ?」
「どうって……」
 自らの紅髪のように赤面した陽子は、執務室の方卓に両手を突かんばかりに身を乗り出した視線から逃れるように、露台へと続く玻璃の窓に顔を向けた。
「それだけ」
「それだけって……あの怜悧な冢宰殿がそれで済ませるはずなんかないわ」
 右の掌で方卓を二度三度と叩きながら、祥瓊は陽子に詰め寄る。私の陽子に求婚するなんて、と憤慨している様子を少し呆れたように見ながら、その黒い瞳には明らかに「好奇心」と言う文字を浮かべているのは鈴だ。もう少し落ち着いて、ちゃんと聞き出しなさいよと祥瓊を焚き付けている。


 金波宮の園林は、下界に比べて少し季節の進行が早い。従って、既に殆んどの桜は葉桜となってしまっている。陽子の視線の先を追った祥瓊は、明らかに不愉快そうな貌をした。視線の先の玻璃の窓からは、満開の頃の花とは違い、少し線の細い印象の純白の花が咲いていた。満開の時期に見たものとは、明らかに印象が異なっている。

 満開の花は、堯天に連れ立って降りた時に楽しそうに遊んでいる子供達をみて微笑む陽子を思わせる柔らかな印象を持っていたのに、今の花は凛とした切れ味を感じさせる。それがなんとなく、件の冢宰のように思えてしまったからだった。


「後宮に庵を構えたいと言ってた。懇意にしてる園丁の人と相談してみるって。わたしはここに近いから小寝あたりが良いって言ったんだけど、浩瀚は東宮の外れになんか良いとこがあるからってゆってて……そんなに遠かったら仕事終わってから帰るの大変だし……ね?」
 ―― 「ね?」ってナニよ「ね?」って
 呆れた貌で視線を交わした祥瓊と鈴は、大きな溜息をついて肩を落とした。無意識の惚気くらい疲れるものはないと、陽子に聞こえないように祥瓊が呟く。鈴も小さく頷いた。
「やっぱりジューンブライドかなぁ。でもちょっと早いかしら。ジューンブライドってこっちではなんて言うんだろう」
 祥瓊と鈴が居る事を忘れたように、窓の外を眺めながら、陽子が幸せそうな笑顔を浮かべて呟いた。

―了―




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