花守人@管理人作品第2弾
2010/03/24(Wed) 06:46 No.153
ぼさぼさしていたら、桜前線は勢いよく北上しておりました。
開花情報を記しておきます。
3/20に下関・高松・広島・神戸・奈良・岐阜・甲府、21に佐賀・大阪、
22に岡山・松江・東京・横浜、23に鹿児島にて開花いたしました〜。
そして、21には高知にて満開宣言が出されております。
さて、北の国の桜はいつ咲くでしょう? まだ1か月はかかるかな〜。
今年は祭の初めから多数の皆さまがご参加くださり、管理人はこのまま黒子に
徹しようかと思っておりました。
けれど、叱咤激励もいただきましたので、小品をひとつ仕上げてみました。
よろしければお楽しみくださいませ。
※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。
- 登場人物 陽子・尚隆
- 作品傾向 しっとり・ほのぼの
- 文字数 1179文字
花守人
2010/03/24(Wed) 06:49 No.154
風が甘く薫ったら、春が迎えにやってくる。今年もお弁当と佳氈を持って、誇らしげに花開くあの桜を見に行こう。
満開の桜が春風に揺れている。よく来たね、と歓迎されているようで、陽子はにっこりと笑みを返す。気が済むまで桜を眺めてから、おもむろに佳氈を広げた。
花見の準備を終えて振り返ると、伴侶が優しく笑っていた。見る間に火照る頬を恥ずかしく思いつつ問う。
「な、なに?」
「華見をしているだけだ」
人の悪い笑みを浮かべ、伴侶は楽しげにそう返した。陽子は再び桜を見上げる。風に揺すられる美しい花は、まるで笑いさざめくよう。
「ほんと、綺麗だよね」
笑顔でそう返し、陽子は伴侶を佳氈へ誘う。桜の幹に背をつけて、ふたり並んで坐り、花見と会話を楽しむ。他愛のないお喋りを続けていると、時がゆったりと流れていった。
やがて、伴侶は欠伸を噛み殺す。いつしか弁当箱は空になっていた。酒瓶を持ち上げると、とっくに軽くなっている。それでも、蟒蛇の伴侶が酔う量ではない。陽子は苦笑して伴侶を見上げた。
「──疲れているみたいだね」
「そんなことはない」
言葉とは裏腹な気怠い応え。このひとときを作るために、このひとはどれだけの犠牲を払ってきたのだろう。そう思うと、少し切なくなった。
「──寝てもいいよ。私が見張ってる」
いつも決して気を抜くことのない伴侶にそう告げる。が、聞いた伴侶は大笑いした。それから、陽子の頭をくしゃりと撫でる。
「では、遠慮なく」
そう言い様に大欠伸。そうして伴侶は陽子の膝に頭を乗せて横になった。予期しない出来事に、陽子は再び頬を火照らせる。そんなことには頓着しない伴侶は、すぐに静かな寝息を立てた。
温もりと穏やかな寝顔が陽子の緊張を解く。膝に感じる重さは信頼の重み。このひとの安らぎを守りたい。今日ほど強く思ったことはなかった。
「──おやすみなさい」
小さく呟くと、ふたりを見守る桜がこっそり笑ったような気がした。
2010.03.24.
後書き
2010/03/24(Wed) 06:53 No.155
書いているときは思わなかったのですが、一晩寝かせて校正をかけると、
かなり恥ずかしい仕上がりでございました。
私の頭にも一足先に春が来てしまったようで……(苦笑)。
お粗末でございました。
2010.03.24. 速世未生 記
春ですね〜 由旬さま
2010/03/24(Wed) 08:51 No.159
胸がきゅんとなってかつて乙女だった頃を思い起こされました(笑)。
陽子の膝枕は<悔しいけれど>尚隆が一番ふさわしい気がします。
王でなく「人」であることを共有する二人の、ささやかな時間が、
ゆっくりと流れていくさまにほのぼのしました。
もうすでに乱世ではないんでしょうけど griffonさま
2010/03/24(Wed) 20:13 No.167
乱世の産まれの尚隆としては、寝ていても神経のどこかが醒めていて、
常に臨戦態勢だったりするんでしょうか。
でもって、陽子の膝の上でだけ、熟睡するとか(^_^)
陽子を武人として信頼し、女性として甘えられる。そんな感じなんでしょうか(#^.^#)
ええ雰囲気やなぁ〜
甘いですね〜v けろこさま
2010/03/24(Wed) 23:00 No.169
分からないことを承知で「華見」と言った尚隆と、やっぱり分かっていない陽子さん。
ありがちだけど、こういうやりとりが「○×陽子」の醍醐味ですね^^
でもって「膝枕」は最強激甘アイテムに違いありませんワ。
常に隙を見せないお方が見せる、安らいだ姿。そしてそれを直に感じ、見守る陽子さん。
よいな〜vvv
これで「どれだけの犠牲を払ってきたのだろう」などと思わず、
「それでも私に会いたいと思ってくれてるんだ」と思えたら良いのだけど、
そうならないのがこちらの陽子さんなんですねぇ。
ありがとうございました〜 未生(管理人)
2010/03/25(Thu) 09:28 No.173
6時のアメダスが+0.5℃の北の国からおはようございます。
最低気温が+になると春を感じます。
道路の雪もすっかりなくなりました。
これから降る雪は積もらずに掌で融けるのでしょうね〜。
3/24に津で桜が開花いたしました。
気象協会の予想では、北の国で最も早く咲くのは松前の4/30でございます。
私が桜を見るまで、まだ1カ月かかるのですね(苦笑)。
拙作にご感想をありがとうございました!
由旬さん>
由旬さんの乙女心を刺激できて嬉しく思います〜。
<悔しいけれど>の一言に浩陽の意地を見ました。けれど……。
そろそろ尚陽に復帰しませんか(笑)。
この二人には「王」である前に「人」であってほしい、と切に願うのです。
griffonさん>
そうそう、私にとって尚隆ってそういう人でございます。
「武人として信頼し、女性として甘えられ
る」──上手い表現を
ありがとうございました!
いい雰囲気というお言葉、嬉しかったです〜。
けろこさん>
「華見」と「花見」の使い分けは昨年のけろこさんの作品から拝借させていただきました。
気づいていただけて嬉しく思います〜。
膝枕、激甘アイテムですか!
だから書き上げて恥ずかしかったのですね〜〜〜(苦笑)。
そうそう、いつまで経っても愛されている自信を持てない拙宅の陽子さんでございます。
けろこさんはもどかしいでしょうが、それが私の「萌え」なのでお許しくださいませ♪
私だけでしょうか? 空さま
2010/05/05(Wed) 15:03 No.707
いや、思わずリアルで尚隆に御苦労さまと言ってしまいました。
執務は(仕事は)大変ですよね〜
いえいえ 未生(管理人)
2010/05/07(Fri) 09:19 No.731
王さま業って大変なのですよ。
といっても、逃げ出すことが多いから仕事が溜まるのでしょうけれどね(笑)。
ご感想をありがとうございました!