桜幻想@管理人作品第7弾
2010/05/01(Sat) 07:52 No.640
今日、管理人は帰省の旅に出ます。取り合えず明日の夜には帰ってくる予定でございます。
皆さま、祭をどうぞよろしくお願い申し上げます〜。
ではでは出かける前に小品をひとつ投下いたします。
瑠璃さん作#105の連鎖妄想でございます。
管理人本領発揮、末声物でございます、ごめんなさい〜。
※ 管理人の作品は全て尚陽前提でございます。
- 登場人物 浩瀚・陽子
- 作品傾向 しんみり(陽子登遐後末声注意!)
- 文字数 397文字
桜幻想
2010/05/01(Sat) 07:55 No.641
庭院を見下ろす回廊に、春の風が吹き抜ける。咲き誇る薄紅の花の下、豊かな紅の髪が靡いていた。細い背に降りかかる、夥しい数の花弁。
冢宰浩瀚は思わず足を止めて有り得ない光景に目を見張る。桜の木の下に佇む人影。いるはずもない、尊いひと──。
「──主上……」
唇から洩れたその一言に、華奢な背が振り返る。吹き渡る風に踊る緋色の髪。勁い光を湛えた翠の瞳。在りし日そのままの美しき女王。
浩瀚、と呼ばれたような気がした。思わず階を駆け降りる。そのとき、強い風が花びらを撒き上げて、浩瀚は堪らずに目を瞑って顔を覆った。
再び目を開けた時、そこにいるのは桜だけだった。風が吹く度に舞い散る花弁は、まるで雨のよう。
(──桜は、私の代わりに泣いてくれるんだよ)
盛りを過ぎた桜を見上げ、淡い笑みを見せた主を思い出す。その言葉の意味が、今、漸く分かったように思い、浩瀚は微笑を浮かべる。そうして、風に枝を揺らす桜に深く頭を下げた。
2010.05.01.
後書き
2010/05/01(Sat) 07:58 No.642
5月になりました。GW後半戦突入でございます。
今年も何故か予定がびっちりで溜息ばかりの管理人でございます。
いえね、楽しいのですよ。でも、祭が気になるし……。
今年の浩瀚はずっと末声モードでございます。ああ……。
瑠璃さん、素敵な絵からの末声妄想でごめんなさいね〜。お粗末でございました。
皆さまの素敵な「桜」、まだまだお待ち申し上げております!
2010.05.01. 速世未生 記
浩瀚…… 空さま
2010/05/01(Sat) 22:07 No.643
淡い薄紅の花びらがはらはらと落ちる中で、在りし日の陽子さんを映し出した桜。
陽子さんのいない金波宮で執務をとる浩瀚の姿が目に浮かびます。切ないですね。
今年は、いつまでも桜を楽しむことができて、なんだか不思議な気分です。
関東では八重桜が散り始めました。
代わりに泣いてくれるから… ネムさま
2010/05/02(Sun) 00:04 No.644
切ない場面なのに、浩瀚は微笑むんですね。
花が泣くのは辛いだけでなく、今だ鮮やかに姿を思い浮かべることができて幸せだから
でもあるのでしょうか。最後に礼をする姿が、とても素敵です。
幻想 griffonさま
2010/05/02(Sun) 17:50 No.653
失った大切な人の幻を見なくてはならないほど恋焦がれている。
だからこそ、そのひとの望んだとおりに、そのひとが亡くなったあとも維持し続ける事だけが
浩瀚の自分自身の存在理由なんだとしたら、かなり悲しくて苦しい世界だなぁと。
でも、もしも幻の陽子が、「もう、良いから・・・」なんて言っちゃったりしたら、
たぶん浩瀚は・・・(^_^;)
登遐後のお話は、やはり胸が苦しくなります。
でも、好きなんですけどねぇ(^_^;)
Re: 帰省します みるくうさぎさま
2010/05/03(Mon) 00:29 No.659
未生さんの切ない浩瀚が大好きです。
陽子への想いが溢れていますね…。
思わず涙が出そうになり、慌てて「桜が代わりに泣いてくれるから」と
自分に言い聞かせました。
切ない 瑠璃さま
2010/05/03(Mon) 00:54 No.661
本当に浩瀚にとって、世界の全ては陽子なんだなあ、と。
ただ一人の存在を胸に秘めつつ、その後の世界を生きる姿は、ある意味羨ましくもあるけど
周囲から見ると少し痛々しく切ないですね…。
あんなアウトラインのキツイ絵から、こんな幻想的なお話をありがとうございますm(__)m。
ご感想御礼 未生(管理人)
2010/05/03(Mon) 07:10 No.668
空さん>
これだけの短い文章から「陽子さんのいない金波宮で執務をとる浩瀚」を
思い浮かべてくださってありがとうございます。
これが幸せなのかは解りませんが……浩瀚の選んだ道を静かに見守りたいと思います。
去年は咲いている桜に後ろ髪を引かれる思いで北へ旅に出かけました。
今年は我が街もまだまだ咲きそうにないので、安心して旅立てます。
ほんと、5月いっぱい祭が続くかも(苦笑)。
ネムさん>
泣くことって、簡単そうで難しいのかもしれない。
涙で解放できる想いならばもっと楽になれるのかもしれない。
辛いからこそ泣けないこともあるかも、との妄想でございます。
浩瀚にとっては、陽子は頭を下げるべき存在なんだなあ、と書き上げてから思いました。
griffonさん>
私的妄想では「放っておいたら浩瀚は陽子の後追いをしてしまう」んですよ〜。
で、陽子は無自覚に釘を刺す。
他のひとを選ぶ器用さがあれば最初から陽子を好きになったりしないだろうな、
と思ったりしたします。
私にとっては浩瀚ってこんな人なんです。ご容赦くださいませ。
みるくうさぎさん>
私も、浩瀚は切ないからいいのだ! と開き直っております。
こんな浩瀚をお気に召してくださってありがとうございます〜。
そうそう、「桜が代わりに泣いてくれる」んですよ!
瑠璃さん>
「世界の全てが陽子」──素敵な表現をありがとうございます。
外からはそう見えないだろうと思うから、こんな風な胸の内を書いてみたくなるのでございます。
痛いけれど、本人は案外幸せなのかもしれません、というか幸せであってほしい……。
素敵絵からの末声妄想をお許しくださってありがとうございます。
振り返る陽子の勁い瞳がとても印象的だったものですから。
うるうる 由旬さま
2010/05/05(Wed) 01:00 No.687
またもや浩瀚の切ない心に触れてしんみりいたしました。
陽子が生きている時も亡くなった後も、浩瀚は陽子という呪縛に囚われているようです。
頭を下げるあたりに、陽子と浩瀚の微妙な距離を感じました。
それがまた浩瀚の陽子への想いを強くしている所以なのかもと思ったりしました。
ありがとうございます 未生(管理人)
2010/05/05(Wed) 07:04 No.692
これだけの短い文章にあれこれご想像いただけて嬉しく思います。
一応これだけでも解るように書いているつもりなのですが……
末声別館の作品が膨大になってしまい、含みが多くなってしまっているかもしれません(苦笑)。
妄想を誘うご感想をありがとうございました!